未経験から介護職への転職を果たした場合、全く新しい環境・職種で働くことは学びや発見の連続で、恐らくあっという間に毎日が過ぎていくことでしょう。
まだまだ新しいスタートを切ったばかりとはいえ、今後介護職として長きにわたり働いていく自分のキャリアプランはどのように描いていけばよいのでしょうか。
介護の仕事は、特に資格が無くても行うことができます。
実際に求人情報を見ても、「無資格OK」「無資格からのスタート」と記載されているものも数多くあります。
とはいえ、資格の有無によって仕事の内容や給与等は当然変わってきます。
例えば、無資格の場合は訪問介護員として働くこともできませんし、身体介護を行うことはできません。
そこで今回は、他業界から新たに介護職へ転職した際の具体的なキャリアプランを解説していきたいと思います。
■介護職員初任者研修
未経験かつ無資格で介護の仕事に就くにあたって、まず受けておきたいのが「介護職員初任者研修」です。
これは厚生労働省が認定している公的資格で、介護知識の基礎を網羅する、いわば介護職の「入門編」とでもいえるものです。
具体的には、「職務の理解」「介護の基本」「認知症の理解」「老化の理解」「介護におけるコミュニケーション技術」「こころとからだのしくみと生活支援技術」等の項目を130時間の講習で学びます。訪問介護事業所でホームヘルパーとして働くには、この研修を修了していることが求められます。
■介護福祉士実務者研修
介護職員初任者研修の次のステップとして知られているのが、「介護福祉士実務者研修」です。初任者研修を取得していなくても受講することができ、より実践的な介護知識や技術を450時間の講習でさらに幅広く学んでいきます。
より質の高い介護サービスを提供するための技術や知識の習得だけでなく、別途実地研修が必要とはなりますが、喀痰吸引や経管栄養等の医療的ケアも学びます。
■介護福祉士
他業界からの転職にあたり職業訓練を受け、既に上記2つの研修を修了している場合、次に目標としたいのは「介護福祉士」です。
介護福祉士は介護を行うだけでなく、在宅介護における介護方法等の説明や助言を行う等、介護職員の中でもより高い専門性が求められることから、唯一の国家資格となっており、国家試験は年に一回行われています。
養成施設や福祉系高校を卒業するルートではなく、転職により介護福祉士を目指す場合は、3年以上介護等の業務に携わった上で前述の実務者研修を修了し、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
■介護福祉士の仕事とは?
介護福祉士は、日常生活の介助を行いながらも被介護者のニーズに向き合い、日々の生活だけでなく生き方の支援をすることが求められます。
被介護者の心身の状況等を深く理解し、質を担保しながらもその人らしく生活をしていくにはどのようにすればよいのかを、多職種とも密に連携を取りながらも環境の整備を行っていくという役割を果たしていきます。
日本介護福祉士会によると、介護福祉士の「専門性」は「介護過程の展開による根拠に基づいた介護実践」「指導・育成」「環境の整備、多職種連携」の3項目を関連・循環させることができるところにあるとしています。
■ビジョンを持って進んでいきたい
介護の分野でゆくゆくはどのようにキャリアを重ねていきたいのか、大まかなイメージを描けることができたら、後は実務経験を着実に積み重ねていきながら必要な資格の取得を目指していくと良さそうですね。
そして、介護福祉士を取得してさらに実務経験を重ねていくことができたなら、さらなるキャリアアップとして「認定介護福祉士」の取得や、「ケアマネージャー」「生活相談員」等の新たな職種での活躍を目指していくことも可能です。
これから先の具体的な道筋がクリアになることで、より目的意識を持って前向きに日々の業務に取り組んでいくことが出来るのではないでしょうか。
<参考>
社会福祉法人全国社会福祉協議会・中央福祉人材センター 「福祉のお仕事」
介護労働安定センター 「実務者研修・初任者研修」
http://www.kaigo-center.or.jp/jigyo/syoninsya.html
日本介護福祉士会 「介護福祉士とは」
https://www.jaccw.or.jp/about/fukushishi