【2022最新介護情報】介護福祉業界への転職希望なら利用したい―人材不足解消に向けた制度とは?
2022.03.24掲載
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介護・看護・保育求人のヒューマンステイです。

少子高齢化が進みゆく日本社会。
高齢者の数が増えるほど、介護や福祉の面で支援を必要とする人の数も増えていくことは想像に難くありません。
さらに、多様化が進む社会では高齢者に限らず障がい者や子どもなど、様々な形での福祉サービスが今後ますます求められるようにもなっていくでしょう。
このように、介護や福祉の現場で働く人材の需要は高まる一方、安定してそれを確保することは難しく、介護福祉業界では人材の不足が常に叫ばれています。

人材不足を解決するために、これまでも介護福祉業界で就労する予定のある人に向けた貸付制度が存在していました。
しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大に起因する社会の変化に伴い、2021年には厚生労働省が新たな取り組みを開始しました。
そこで今回は、介護福祉業界で慢性化する人材不足を解消するために先ごろ始まった新たな取り組みをご紹介していきたいと思います。


 
◆コロナ禍により人手不足はますます深刻化

 従来、介護福祉人材の確保を目的とした「介護福祉士修学資金等貸付制度」「保育士修学資金貸付等制度」等の貸付事業が都道府県(一部の資金は指定都市)を実施主体として運用されており、再就職準備金の倍増など事業自体の拡充も年々図られてきていました。これらの事業は、資格を取得した後に介護福祉業界で一定の期間継続して就労した場合に借入金の返還を免除するものでした。

  しかし、ただでさえ高齢者人口が増えていっただけでなく、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、各種介護福祉施設では頻繁な検温・消毒・利用者家族との連絡等、行うべき業務が増大することとなり、ますます深刻な人手不足に悩まされるようになってしまいました。そこで、この状況を打開するために2021年4月に厚生労働省は「福祉系高校修学資金貸付事業」「介護分野就職支援金貸付事業」「障害福祉分野就職支援金貸付事業」等、新たにいくつかの貸付事業を創設しました。

 特に「介護分野就職支援金貸付事業」は、新型コロナウイルスの影響により休業や失業を余儀なくされた人の再就職を促すという狙いもあります。これまで他業種で活躍をしていた人が、この貸付事業をきっかけに介護の現場へ目を向けるようになることを目的としており、「2021年度には最低でも2万2千人の利用を目指す」とされています。

 


調整力介護分野就職支援金貸付事業の具体的な内容は?
 早速、事業の具体的な内容を見ていきましょう。
 これは、未経験で介護・福祉業界で働く予定の人に最大20万円を支援する制度です。準備のための「費用」という位置づけで、就職前に支給されます。介護や福祉の現場で必要な資格の取得を目指し、「介護職員初任者研修」や「介護福祉士実務者研修」などの職業訓練(2~6ヶ月程度)を無料で受講することもできます。職業訓練の一環で職場体験や見学等が組み込まれる場合もあります。 

 職業訓練修了後は、証明書が発行されます。その他、住民票や申込書等提出書類を揃え、申請することで就職支援金を最大20万円まで借りることができます。申請時には、連帯保証人の記載が必要です。

 支援金は、就職準備のための「費用」なので、その利用目的を利用計画書に記載する必要がありますが、幅広い使途が認められています。具体的には、「子どもの預け先を探す場合の活動費 」「国家試験の受験手数料や参考図書等の購入費 」「働く際に必要となる靴等の購入費」「転居を伴う場合に必要となる費用」等です。  

 ただし、この支援金は介護や福祉の現場で2年以上継続して働くことが支給の条件となっています。そのため、万が一途中で離職してしまうと返済しなければならないため、注意が必要です。また、各自治体の任意事業として開始しているため、居住地によってはこの制度を実施していない場合もあり、自治体により申請フォーマット等も異なっていますので確認しておくと安心です。運営主体となっている各自治体の福祉人材センターやハローワークへ確認してみることをお薦めします。

 


◆介護福祉業界への転職希望者のための情報提供体制の強化

 さらに、他業種から介護福祉業界への参入の促進や、資格を持っていながら現在介護福祉業界で就労していない「潜在介護福祉士」等の呼び戻しを目的とした「情報提供体制の強化」の取り組みも進められています。

 これは、中央福祉人材センターが主体となり、働き手を募集している介護事業所等の情報を求職者がより利用しやすい形で提供できる体制を構築し利用価値の高いものにすることで、両者のマッチング機能の強化を図る取り組みです。

 具体的には、求職者が福祉人材情報システムを通じて求人事業所の特徴やアピールポイント等を把握することができるよう情報量を拡充することや、容易に情報システムを利用することができるよう、利用登録の簡略化や検索機能の強化を図るというものです。

 このような取り組みにより、これまで介護福祉業界で働いた経験がない人が転職を希望するにあたって、自身のニーズによりマッチした転職先を探せるようになることが期待できます。

 

  


◆復職の場合でも貸付金の申請が可能

 加えて、未経験者の転職に限らず、以前に介護福祉業界で働いた経験のある人を対象として、介護職へ復職するための準備金の貸付事業も創設されています。これは「再就職準備金貸付事業」というものです。対象者は介護福祉士資格取得者、実務研修修了者、介護職員初任者研修修了者のいずれかで、介護保険サービス事業者等で1年以上の勤務経験がある人です。

 「介護分野就職支援金貸付事業」と同様に準備金利用計画書などの提出が求められますが、再就職後に2年間勤務することを条件に、介護の仕事に復職するための費用として最大40万円までの貸付を受けることができます。

 「過去に介護の仕事をしていたけれど、子育てのために離職した」「昔少しだけ介護業界で働いていたが、転職してしまった」という人が、ライフステージの変化を経て改めて復職することを考えている場合等には、大変有意義な制度であるといえるのではないでしょうか。

 

 

◆転職活動の大きな後押しとなる制度

 介護福祉業界への転職を考えるにあたって、資格の取得など新たに様々な費用を考えると躊躇してしまう人も少なくないと思います。そのような点からも、準備資金を20万円まで貸付してもらえるということは、介護職への転職ハードルを下げることに一役買っているといえそうですね。

 離職率も高いといわれる介護福祉業界において、特に新型コロナウイルスの感染拡大以降、国が人材確保のためにこのような様々な取り組みを打ち出していることは、人材不足への強い危機感の表れともいえるのではないでしょうか。
 
 ますます少子高齢化が進んでいくにあたり、今後もさらに介護福祉業界への新たな人材の流入や定着を促進する取り組みが図られていくことが期待されます。興味はあるものの、介護福祉業界での仕事は未経験という方は、これらの制度を存分に活用して転職活動を進めてみてはいかがでしょうか。

 


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<参考>

厚生労働省 「(セット版)令和2年度第三次補正予算案(参考資料)−第2 ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現−」https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/dl/20201221_02.pdf

厚生労働省 「介護職として再就職をお考えの方、初めて働くことをお考えの方へ(再就職準備金、就職支援金のご案内)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188098_00002.html

全国社会福祉協議会 「都道府県・指定都市社協における『各種貸付制度』」
https://www.shakyo.or.jp/guide/shikin/kashitsuke/index.html