なぜ「上司との関係」が働きやすさを大きく左右するのか
介護・看護・保育の仕事を続けていると、「仕事内容そのものより、人間関係がつらい」と感じた経験が一度はあるのではないでしょうか。中でも多くの人が悩みやすいのが、上司との関係です。
指示の出し方がきつい、言うことが日によって違う、忙しさから感情的になる、相談しづらい空気がある――。どれも珍しい話ではありません。
一方で、不思議なことに「同じ上司・同じ職場なのに、あまり疲れていない人」がいるのも事実です。その人たちは、上司と特別に仲が良いわけでも、要領よく立ち回っているわけでもありません。実は多くの場合、上司との距離感の取り方が違うだけなのです。
介護・看護・保育の現場は、上司との距離が物理的にも心理的にも近くなりやすい職種です。少人数体制、忙しいシフト、急な判断が求められる環境では、上司の言動がそのまま現場の空気に影響します。そのため、上司との関係がうまくいかないと、「毎日職場に行くのが憂うつ」「必要以上に気を張ってしまう」「本来の仕事以上に疲れる」といった状態に陥りがちです。
しかし、ここで大切なのは、「上司を変えなければならない」「分かり合わなければならない」と考えすぎないことです。現実的に、上司の性格や考え方を変えるのは簡単ではありません。むしろ多くの人が疲れてしまうのは、無理に理解しようとしたり、期待しすぎたりすることに原因があります。
上司との関係は、「好き・嫌い」や「合う・合わない」だけで語れるものではありません。仕事として関わる以上、一定の距離感と割り切りが必要です。うまくやろうと頑張りすぎるよりも、「疲れない関係」を目指すほうが、結果的に仕事は続けやすくなります。
この記事では、介護・看護・保育の現場で実際によくある悩みをもとに、上司との関係に振り回されずに働くための考え方や工夫を紹介していきます。途中では、新人の方とベテランの方、それぞれの立場に合わせた視点も取り入れています。
上司と無理に仲良くなる必要はありません。でも、今より少しラクになる方法はあります。
「この関係、ずっとこのままなのかな」と感じている方こそ、ぜひ読み進めてみてください。
1.上司との関係がしんどくなる現場〝あるある〟
〜介護・看護・保育で起きやすいリアルなパターン〜
「上司との関係がつらい」と感じる理由は、人によってさまざまです。ただ、介護・看護・保育の現場で話を聞いていくと、悩みの内容には驚くほど共通点があります。ここでは、多くの現場で見られる“あるある”を整理しながら、なぜそれがストレスになりやすいのかを掘り下げていきます。
① 指示が曖昧、そして突然変わる
「昨日と言っていることが違う」「さっきはOKだったのに、後で注意された」
こうした経験は、介護・看護・保育の現場では決して珍しくありません。
例えば、
・申し送りでは問題ないと言われた対応が、後になって「なぜそうしたの?」と責められる
・保育計画やケア方針が急に変更され、説明がないまま従うことになる
・忙しい時間帯に口頭だけで指示され、後から「聞いていない」と言われる
このタイプの上司は、悪気があるわけではなく、自分の頭の中で考えが完結してしまっていることが多いです。しかし、部下からすると「何を基準に動けばいいのかわからない」「地雷を踏まないように常に緊張する」状態になり、精神的な消耗が大きくなります。
② 忙しさから感情的になりやすい上司
人手不足、急な欠勤、トラブル対応…。
介護・看護・保育の現場は、上司自身も余裕がないケースが多くあります。その結果、
・口調がきつくなる
・ため息やイライラをそのまま出す
・小さなミスを強く指摘する
といった行動につながりやすくなります。
例えば、忙しい時間帯に質問をしただけで、「今それ聞く?」と言われたり、感情的な言葉を投げられたりすると、「次から聞くのが怖い」「自分が悪いのかもしれない」と萎縮してしまう人も多いでしょう。
問題なのは、上司の感情の波がそのまま現場の空気になることです。部下は常に顔色をうかがうようになり、仕事以外の部分でエネルギーを消耗してしまいます。
③ 評価基準が見えない・伝わらない
「何を頑張れば評価されるのかわからない」
これも非常に多い悩みです。
・一生懸命やっているのに何も言われない
・注意される点ばかりが目につく
・評価面談が形式的で具体性がない
特に介護・保育は「目に見えにくい頑張り」が多く、看護でもチームワークや気配りといった部分は評価されにくい傾向があります。その中で、上司からのフィードバックが少ないと、「自分のやり方は合っているのか」「期待されていないのでは」と不安が募ります。
結果として、必要以上に自分を責めたり、過剰に頑張りすぎたりしてしまう人も少なくありません。
④ 「言いやすい人」に仕事が集中する
現場では、「頼めばやってくれる人」「断らない人」に仕事が集まりやすくなります。
・シフト調整
・急なフォロー
・面倒な業務
これらがいつも同じ人に回ってくるケースは多いでしょう。
上司側に悪意がなくても、結果として「なぜ私ばかり?」という不満が積み重なります。しかし、断れない性格や立場の人ほど、それを口に出せず、心の中で疲労を溜め込んでしまいます。
この状態が続くと、上司に対して「利用されている」「大切にされていない」という感情が芽生え、関係がぎくしゃくしやすくなります。
⑤ 真面目な人ほど我慢してしまう構造
介護・看護・保育の仕事に就く人は、責任感が強く、我慢強い人が多い傾向があります。そのため、
・多少理不尽でも「仕方ない」と飲み込む
・上司の機嫌を優先してしまう
・自分の気持ちを後回しにする
といった行動を無意識に選びがちです。
一時的には現場が回りますが、長期的には心身の疲労が蓄積し、「ある日突然限界を迎える」というケースも少なくありません。本人は限界まで頑張っているのに、上司からは「問題なくやれている人」と認識されてしまうこともあります。
⑥ 上司もまた「余裕がない」立場である現実
ここまで読むと、「上司ばかりが原因」と感じるかもしれません。しかし、多くの上司もまた、
・人手不足の中で板挟みになっている
・経営側と現場の間で苦しんでいる
・十分なマネジメント教育を受けていない
という状況に置かれています。
だからこそ、問題は「誰が悪いか」ではなく、構造としてしんどくなりやすい関係性にあります。この構造を理解せずに感情だけで向き合ってしまうと、部下側だけが消耗してしまいます。
上司との関係がつらくなるのは、あなたの性格が弱いからでも、能力が足りないからでもありません。多くの場合、現場特有の環境と役割のズレが原因です。
次のセクションでは、こうした現実を踏まえたうえで、
仕事がラクになる人が実践している「上司との距離感の考え方」を紹介していきます。
無理に分かり合わなくても、振り回されないための視点を一緒に見ていきましょう。
2.仕事がラクになる人がやっている「上司との距離感」の考え方
無理に分かり合おうとしない、でも壊さない
上司との関係で疲れてしまう人ほど、「うまくやらなければ」「嫌われないようにしなければ」「分かってもらいたい」と、無意識のうちに頑張りすぎています。一方で、仕事がラクな人は、上司との関係を感情の問題として捉えすぎていません。ここに大きな違いがあります。
上司は「人格」ではなく「役割」として見る
仕事がラクな人は、上司を「一人の人間」として深く評価しすぎません。
もちろん失礼な態度を取るわけではありませんが、
「この人は“現場を回す役割の人”」
「この立場だから、こう言うこともある」
と、役割ベースで捉える視点を持っています。
例えば、口調がきつい上司に対しても、
「私が嫌われているからではなく、今は余裕がないだけ」
「立場上、厳しく言わざるを得ないのかもしれない」
と、一度クッションを置いて受け取ります。
この一呼吸があるだけで、言葉を真正面から受け止めすぎずに済み、心の消耗を防ぐことができます。
「期待しすぎない」ことが一番の自己防衛
上司との関係で疲れやすい人ほど、
・ちゃんと見てほしい
・分かってほしい
・公平に評価してほしい
という思いを強く持っています。これはとても自然な感情です。
しかし、仕事がラクな人は、上司に過度な期待をしていません。
「この上司は、細かいところまでは見ていない」
「言わないと伝わらないタイプだ」
と、現実的に相手を把握しています。
期待を下げることは、諦めではありません。
「この人にここまで求めない」と線を引くことで、裏切られた気持ちや失望を減らすことができます。結果として、感情が安定し、仕事に集中しやすくなります。
上司に「分かってもらおう」としすぎない
仕事がラクな人は、「分かってもらえない前提」で動いています。
これは冷たい考え方ではなく、現場ではとても現実的です。
介護・看護・保育の上司は、
・自分の業務
・上層部との調整
・現場全体の責任
を抱えており、一人ひとりの細かな感情まで把握する余裕がないことも多いのが実情です。
そのため、「察してほしい」「気づいてほしい」と期待するほど、苦しくなります。仕事がラクな人は、
「分かってもらえたらラッキー」
「分からなくても想定内」
というスタンスでいます。
感情と業務を切り分けて考える
上司の言葉にイラッとしたり、落ち込んだりすることは誰にでもあります。違いは、その感情をどこまで引きずるかです。
仕事がラクな人は、心の中で次のように整理しています。
「これは“業務の話”」
「これは“感情の話”」
例えば、注意されたときも、
・業務として必要な指摘なのか
・感情的な言い方だっただけなのか
を分けて受け取ります。
業務に必要な部分だけを拾い、余計な感情は手放す。これができると、上司の言動に振り回されにくくなります。
上司との関係は「改善」より「調整」
多くの人は、「関係を良くしなければ」と考えがちです。しかし、仕事がラクな人は、関係を良くすることを目標にしていません。
目指しているのは、
・仕事がスムーズに回る
・無駄に消耗しない
・必要以上に関わりすぎない
という「調整された関係」です。
毎回うまくいかなくても問題ありません。
多少ぎこちなくても、業務が回れば十分。
この割り切りがあることで、心の負担は大きく軽くなります。
「距離を取る=冷たい」ではない
距離感を調整すると聞くと、「冷たい人だと思われないか」「協調性がないと思われないか」と不安になる人もいるでしょう。しかし、仕事がラクな人は、必要な距離を保つことは誠実さでもあると理解しています。
無理に合わせて疲れ切ってしまうより、
適切な距離で安定して働き続けるほうが、結果的に現場にも貢献できます。
上司との関係に正解はありません。ただ、「我慢し続ける」ことだけが答えではないのです。
次のセクションでは、ここまでの考え方を踏まえて、【新人向け】上司との関係で疲れにくくなる具体的なコツを紹介していきます。「最初の数年をどう乗り切るか」に悩んでいる方に、特に役立つ内容です。
3.【新人向け】上司との関係で疲れにくくなるコツ
評価されようとしすぎないことが、結果的にうまくいく
介護・看護・保育の仕事を始めたばかりの頃は、「ちゃんとやらなければ」「迷惑をかけてはいけない」「早く一人前にならなければ」と、どうしても気持ちが張りつめがちです。特に上司との関係では、「どう思われているか」が気になり、必要以上に緊張してしまう人も多いでしょう。
しかし、新人の時期に一番大切なのは、完璧に評価されることではなく、長く続けられる状態を作ることです。仕事がラクな人ほど、最初から力の入れ方を間違えていません。
「評価されたい」が強すぎると、関係は苦しくなる
新人の方が上司との関係で疲れやすい理由の一つが、「よく見られたい」という気持ちの強さです。
・注意される=否定された気がする
・褒められない=認められていないと感じる
・期待に応えなければと無理をする
こうした状態が続くと、上司の一言一言に心が揺さぶられ、仕事以上に精神的な疲れが溜まっていきます。
仕事がラクな人は、新人の頃から「今は評価される時期ではない」と割り切っています。評価よりも、覚える・慣れる・安全に働くことを優先しているのです。
指示は「その場で確認する」が一番の防御
新人が上司との関係でつまずきやすいのが、「聞いたつもり」「分かったつもり」のまま動いてしまうことです。
後になって「違う」と言われると、強く落ち込んだり、自信をなくしたりしてしまいます。
そこで大切なのが、
「〇〇という理解で合っていますか?」
「ここまでやれば大丈夫でしょうか?」
と、その場で確認する習慣です。
遠慮して聞かないより、短く確認するほうが、結果的に上司とのトラブルは減ります。仕事がラクな人ほど、「聞くことは悪いことではない」と自然に理解しています。
注意されたときに“自分の価値”と結びつけない
新人のうちは、注意や指摘を受ける場面が多くなります。そのたびに「自分は向いていないのでは」「また怒られた」と感じてしまう人も少なくありません。
しかし、仕事がラクな人は、
「注意=今のやり方の話」
「人格否定ではない」
と、意識的に切り分けています。
特に介護・看護・保育の現場では、安全や信頼が最優先されるため、言い方がきつくなることもあります。内容だけを拾い、感情的な部分は深追いしない。この姿勢が、心を守るポイントになります。
「分からない」を早めに出すほうが信頼される
新人の頃ほど、「迷惑をかけたくない」「できないと思われたくない」と感じ、分からないことを抱え込んでしまいがちです。しかし実際には、
黙ってミスをするより、早めに相談するほうが信頼されます。
仕事がラクな人は、
「今の自分は分からなくて当然」
という前提で動いています。
分からないことを素直に出すことは、弱さではなく、現場を守る行動です。
上司に“期待されすぎない”立ち位置を作る
新人のうちに頑張りすぎると、「この人なら大丈夫」と思われ、仕事が集中してしまうケースもあります。
もちろん努力は大切ですが、最初から100点を目指す必要はありません。
・できることとできないことを分ける
・無理なときは「今は難しい」と伝える
・完璧にこなそうとしない
こうした姿勢が、長く働くための土台になります。
上司との関係は「慣れる」ものでもある
新人の頃は、上司との関係に悩むのが当たり前です。最初からうまくやれる人のほうが少数派です。
時間と経験を重ねる中で、
「この上司はこういうタイプ」
「この場面ではこう対応すればいい」
と分かってくる部分も多くあります。
焦らず、今は“慣れる時期”だと考えてください。
新人のうちは、自分を責めすぎないことが何より大切です。
次のセクションでは、 【ベテラン向け】上司との関係をこじらせないための現実対応を取り上げます。
経験を積んだからこそ生まれる悩みや、立場の難しさにフォーカスしていきます。
4.【ベテラン向け】上司との関係をこじらせないための現実対応
「分かっている人」ほど疲れてしまう理由
介護・看護・保育の現場で年数を重ねると、業務そのものには慣れ、利用者さんや子どもへの対応にも自信がついてきます。しかしその一方で、上司との関係が以前よりしんどくなったと感じる人も少なくありません。
それは、ベテランになるほど「分かっているはず」「できて当然」と見られやすくなるからです。上司からの期待が増える一方で、フォローや説明が減り、気づけば責任や調整役を背負っている――そんな状況に心当たりはないでしょうか。
年下上司・立場の変化への戸惑い
近年は、年下の上司や、現場経験の少ない管理職が増えています。
・指示の仕方に納得できない
・現場を分かっていないと感じる
・意見を言うと面倒な人と思われそう
こうした葛藤を抱えながら、言いたいことを飲み込んでしまうベテランも多いです。
仕事がラクな人は、ここで「正しさ」で勝とうとしません。
「立場が違えば、見ているものも違う」
と一歩引いて捉えています。納得できなくても、すべてを是正しようとせず、「ここは任せる」「ここは守る」と線を引いています。
「分かっているから頼まれる」を放置しない
ベテランほど、
・急なフォロー
・新人の面倒
・トラブル対応
を任されがちです。頼られること自体は悪いことではありませんが、無意識に引き受け続けると、自分の負担だけが増えていきます。
仕事がラクな人は、
「今は余裕がない」
「この件は◯◯さんにも共有したほうがいい」
と、役割を一人で抱え込まない工夫をしています。
断るのが苦手でも、分散させる言い方を選ぶことで、関係を壊さずに負担を減らすことができます。
意見は「感情」ではなく「事実」で伝える
ベテランになると、現場の問題点がよく見えるようになります。しかし、その分、不満や違和感も溜まりやすくなります。
ここで感情のまま意見を伝えると、上司との関係がこじれやすくなります。仕事がラクな人は、
・感情を一度外に出してから
・事実や影響に焦点を当てて
話すことを意識しています。
「忙しすぎる」ではなく
「〇時以降は人手が足りず、事故リスクが高まっています」
と伝えることで、話は“個人の不満”ではなく“現場の課題”になります。
後輩と上司の板挟みになったとき
ベテランが最も消耗しやすいのが、後輩と上司の間に立つ立場です。
・後輩の不満を聞く
・上司の意向を伝える
・双方の空気を壊さないよう気を使う
この役割を無意識に担い続けると、心がすり減っていきます。
仕事がラクな人は、「全部を調整役として引き受けない」と決めています。必要なときだけ関わり、抱え込まない。これも長く働くための大切な工夫です。
「期待に応え続ける」ことが正解ではない
ベテランになるほど、「期待に応えなければ」という思いが強くなります。しかし、その期待は際限なく膨らむこともあります。
仕事がラクな人は、
「ここまではできる」
「これ以上は無理」
と、自分の限界を把握し、線を引いています。
それは甘えではなく、自分を守り、現場を守るための判断です。
関係を壊さない距離感は「諦め」ではない
ベテランが距離を取ると、「冷たい」「協調性がない」と思われるのでは、と不安になることもあるでしょう。しかし、無理をして関係を保つより、適切な距離で安定して働くほうが、結果的に職場にとってもプラスになります。
上司との関係は、年数を重ねるほど複雑になります。
次のセクションでは、ここまでの考え方を踏まえ、6.上司に振り回されないための具体的コミュニケーション術を紹介します。明日からすぐに使える、現場向けの言い回しや対応例を中心にお伝えします。
5.上司に振り回されないための具体的コミュニケーション術
ポイントは“正しさ”より“安全に伝えること”
上司との関係で疲れてしまう大きな原因は、「言いたいことを我慢する」か「言いすぎてしまう」かのどちらかに偏りやすいことです。仕事がラクな人は、その中間を選んでいます。つまり、主張はするが、ぶつからないという姿勢です。
① 忙しい上司には「結論から・短く」
忙しい現場では、長い説明は聞いてもらえないことが多くあります。仕事がラクな人は、
「結論 → 理由 → 確認」
の順で話します。
例:
「結論から言うと、この対応は今は難しいです。理由は人手が足りないためです。別案に切り替えてもよいでしょうか」
この形にするだけで、「言い訳」ではなく「相談」として受け取られやすくなります。
② 依頼を受けるときは即答しない
上司から頼まれごとをされたとき、反射的に「はい」と答えてしまう人は多いです。しかし、その積み重ねが負担になります。
仕事がラクな人は、
「確認してからお返事します」
「〇時以降でもよいでしょうか」
と、ワンクッション置くことを習慣にしています。
即断しないだけで、自分のペースを守る余地が生まれます。
③ 感情的な言葉は「受け流す技術」を使う
感情的な言い方をされたとき、真正面から受け止めると心が疲れます。
仕事がラクな人は、心の中で
「これは内容だけ拾えばいい」
と切り替えています。
声に出さずとも、
「今は余裕がないんだな」
と一度フィルターを通すだけで、ダメージは大きく減ります。
④ 言いにくいことは“事実+影響”で伝える
不満や違和感を伝えるときに、「大変です」「無理です」だけだと、感情論になりがちです。
例:
「最近残業が続いています」
→「この状態が続くと、翌日の集中力が落ちてミスのリスクが高まります」
事実と影響をセットにすることで、話は“個人の愚痴”ではなく“現場の課題”になります。
⑤ 上司の言葉をそのまま受け取らない
上司の一言をすべて真に受けてしまうと、心が持ちません。
仕事がラクな人は、
「今言われたのは“この場面での指示”」
と限定して受け取ります。
過去や未来まで結びつけないことが、気持ちを安定させるコツです。
⑥ 「できません」を使わない断り方
完全に断るのが難しい場合は、
・条件付き
・期限付き
で返す方法があります。
例:
「今すぐは難しいですが、明日なら対応できます」
「この件は〇〇までであれば可能です」
これだけで、関係を壊さずに自分の負担を調整できます。
⑦ 報告は「途中経過」を小出しにする
報告を後回しにすると、上司は不安になります。
仕事がラクな人は、
「今ここまで進んでいます」
と途中で共有します。
完璧な結果より、見える化が信頼につながります。
⑧ 距離を保つことは「逃げ」ではない
必要以上に踏み込まない、感情的な話題に深入りしない。これも立派なコミュニケーションです。
無理に関係を深めなくても、仕事は回ります。
「ほどよい距離」を保つことは、長く働くための技術です。
上司との関係は、工夫次第で「消耗する関係」から「対応できる関係」に変えられます。
6.それでもつらいときに考えてほしいこと
「あなたの努力不足」ではないケースも多い
ここまで、上司との関係で疲れにくくなる考え方や対応の工夫を紹介してきました。それでも、「頭では分かっているけれど、どうしてもつらい」「何をしても状況が変わらない」と感じる人もいるでしょう。
そのとき、まず知っておいてほしいのは、すべての関係は努力で改善できるわけではないという事実です。上司との相性や職場の体制、価値観のズレなど、自分一人ではどうにもならない要素も確実に存在します。
我慢が当たり前になっていないか
介護・看護・保育の仕事に就く人は、我慢強く、責任感が強い人が多い傾向があります。そのため、
・これくらい耐えるのが普通
・自分が我慢すれば現場は回る
・辞めるなんて無責任
と、自分に言い聞かせながら限界を超えてしまうことも少なくありません。
しかし、我慢が続けば続くほど、心と体は静かに疲弊していきます。気づいたときには、仕事そのものがつらくなってしまうこともあります。
「関係を良くする」努力をやめる勇気
上司との関係がしんどいとき、「自分の接し方が悪いのでは」「もっと努力すべきでは」と考えてしまいがちです。しかし、すでに十分頑張っている人ほど、それ以上の努力が逆効果になることもあります。
関係を良くしようとするのではなく、
「これ以上悪くしない」「自分を守る」
という視点に切り替えるだけでも、気持ちは少し軽くなります。
環境との相性という考え方
上司との関係がうまくいかない原因を、すべて個人の問題にしてしまうと苦しくなります。
・組織の体質
・評価制度
・人員配置
・管理体制
これらが合わない場合、どんなに工夫しても限界があります。それは「逃げ」ではなく、環境との相性の問題です。
心と体に出ているサインを見逃さない
もし、
・出勤前に強い憂うつを感じる
・上司の顔を見るだけで動悸がする
・家に帰っても仕事のことが頭から離れない
といった状態が続いているなら、それは無理をしすぎているサインかもしれません。
仕事を続けるためには、自分の状態を最優先に考える必要があります。
「離れる」という選択も、自分を守る行動
どうしても改善が見込めない場合、距離を取る、配置換えを相談する、環境を変えるといった選択肢もあります。これは負けではありません。
あなたがこれまで積み重ねてきた経験やスキルは、一つの職場だけにしか通用しないものではありません。合う環境に移ることで、同じ仕事でも驚くほどラクに感じられることもあります。
頑張り続けられる場所は、必ずある
上司との関係に悩むことは、あなたが真剣に仕事と向き合ってきた証拠でもあります。ただ、その頑張りを消耗に変えてしまう環境に、居続ける必要はありません。
まとめ|上司との関係は「うまくやる」より「疲れない」が正解
上司との関係に悩むことは、介護・看護・保育の現場では決して珍しいことではありません。むしろ、責任感が強く、仕事に真剣な人ほど、上司の言葉や態度に敏感になり、心をすり減らしてしまう傾向があります。
この記事を通してお伝えしてきたのは、「上司に好かれる方法」や「完璧なコミュニケーション術」ではありません。目指すべきなのは、上司との関係を無理に良くすることではなく、自分が疲れずに働き続けられる距離感を見つけることです。
上司との関係がつらくなる本当の理由
多くの人が苦しくなる原因は、「ちゃんとやらなければ」「分かってもらわなければ」「期待に応えなければ」と、必要以上に自分を背負い込んでしまうことにあります。
しかし現実には、上司も一人の人間であり、価値観や考え方、余裕の有無はさまざまです。どれだけ努力しても噛み合わない関係は存在します。それを「自分の力不足」と結論づけてしまうと、心だけが削られていきます。
新人もベテランも「立場ごとの悩み」がある
新人は新人で、「評価されたい」「怒られたくない」「空気を読まなければ」と緊張し続けがちです。一方、ベテランはベテランで、「期待されている」「今さら弱音を吐けない」「支える立場でいなければ」と、自分を後回しにしやすくなります。
立場は違っても共通しているのは、頑張りすぎてしまうこと。だからこそ、自分に合った距離感や力の抜き方を知ることが、長く働くためには欠かせません。
「仕事がラクな人」は、無理をしない選択をしている
仕事がラクそうに見える人は、決して手を抜いているわけではありません。
・全部を完璧にやろうとしない
・感情と仕事を切り分けている
・できないことは抱え込まない
・自分の限界を知っている
こうした小さな選択の積み重ねが、結果的に心と体を守っています。上司との関係においても同じで、「正面からぶつかる」「分かってもらおうとし続ける」以外の選択肢を持っています。
上司との距離感に「正解」はない
距離を縮めたほうがうまくいく人もいれば、一定の距離を保ったほうが楽な人もいます。大切なのは、「自分はどの距離だと疲れにくいか」を知ることです。
無理に雑談を頑張らなくてもいい。必要以上に気を遣わなくてもいい。最低限の報告・連絡・相談ができていれば、それで十分なケースも多いのです。
それでもつらいときは、環境の問題かもしれない
どんなに工夫しても、どんなに考え方を変えても、どうしても苦しい関係があります。それはあなたの努力不足ではなく、環境との相性の問題である可能性が高いです。
我慢し続けることが美徳のように語られがちな業界ですが、我慢の先にあるのは、燃え尽きや離職であることも少なくありません。自分を守るために距離を取る、相談する、環境を変えるという選択は、決して逃げではありません。
働き続けるために、一番大切なこと
介護・看護・保育の仕事は、人を支える尊い仕事です。だからこそ、支える側がすり減ってしまっては続きません。
・完璧じゃなくていい
・好かれなくてもいい
・全部を背負わなくていい
「疲れない働き方」を選ぶことは、長く現場に立ち続けるための、立派なプロ意識です。
最後に
上司との関係に悩んでいるあなたは、きっと真面目で、責任感が強く、現場を大切にしてきた人です。その姿勢自体は、何も間違っていません。ただ、その優しさや頑張りを、消耗に変えてしまう必要はないのです。
この記事が、「もう少し肩の力を抜いてもいいんだ」「自分を守っていいんだ」と思えるきっかけになれば幸いです。
あなたが安心して力を発揮できる場所で、無理なく働き続けられることを、心から願っています。





