看護師の業務範囲を徹底解説!保健師助産師看護師法と実務のポイント
1. はじめに:看護師の業務範囲を正しく理解しよう
看護師の仕事は、医療現場で重要な役割を果たします。しかし、「どこまでが看護師の業務なのか」「医師の指示が必要な行為とは何か」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
看護師の業務は「保健師助産師看護師法(以下、保助看法)」に基づき明確に定められています。しかし、実際の現場ではグレーゾーンの業務も多く、正しく理解しておかないと、法的リスクを伴う可能性もあります。本記事では、看護師の業務範囲を法律の視点から解説し、実務におけるポイントを詳しく紹介します。
2. 保健師助産師看護師法とは?看護師の業務範囲の基本
2-1. 保助看法の概要
保助看法は、保健師・助産師・看護師の業務範囲を規定する法律です。この法律の目的は、適切な医療の提供と患者の安全を守ることにあります。看護師の業務は、保助看法の第5条において以下のように定められています。
2-2. 看護師の業務範囲(第5条の規定)
保助看法第5条では、看護師の業務について「療養上の世話」と「診療の補助」の2つに分類されています。
-
療養上の世話:
-
患者の身の回りのケア(食事・排泄・清潔ケア)
-
バイタルサイン測定
-
生活指導や健康相談
-
-
診療の補助(医師の指示が必要):
-
注射、点滴、採血
-
傷の処置、ドレーン管理
-
吸引、カテーテル管理
-
人工呼吸器の管理
-
これらの業務を適切に遂行するためには、医療現場のルールを理解し、必要な資格や研修を受けることが重要です。
3. 看護師ができること・できないこと
3-1. 医師の指示が必要な行為
診療の補助に該当する行為は、医師の指示のもとで実施しなければなりません。以下のような業務は、看護師単独では行えないため注意が必要です。
-
医療行為:診断・治療・処方
-
手術や医療機器の操作(医師の指示なしでの操作は禁止)
-
診断書や処方箋の発行
3-2. 看護師単独でできる行為
一方で、療養上の世話に分類される業務は、看護師の判断で実施できます。
-
患者の清拭・口腔ケア
-
体位変換、褥瘡予防
-
バイタルサイン測定(血圧・体温・脈拍の測定)
-
生活指導(食事・運動・感染予防)
4. 現場で混同しやすい業務の具体例
実際の現場では、「これは看護師ができるのか?」と判断に迷う業務もあります。
4-1. グレーゾーンの業務
-
インスリン自己注射の補助 → 指導は可能だが、医師の指示が必要
-
胃ろうの管理 → 医療的ケアを含むため、適切な指示が必要
-
誤薬対応 → 原則として医師の判断が必要
これらの業務を適切に行うためには、最新のガイドラインを確認し、医師や他職種と連携を取ることが重要です。
5. 看護師が業務範囲を理解するメリット
看護師が自身の業務範囲を正しく理解することで、以下のメリットがあります。
-
法的リスクの回避
-
違法な医療行為を行わないことで、医療訴訟や処罰のリスクを避けられます。
-
-
スムーズな業務分担
-
医師や他職種と適切に連携し、無駄な業務を減らせます。
-
-
キャリアアップにつながる
-
法律や業務範囲の知識を深めることで、管理職や専門職へのステップアップが可能になります。
-
6. まとめ:正しい知識で安全な医療を提供しよう
看護師の業務範囲は、保助看法によって明確に規定されています。しかし、現場では判断が難しい業務も多く、法律と実務の違いを正しく理解することが重要です。
-
「療養上の世話」と「診療の補助」を理解する
-
医師の指示が必要な業務とそうでない業務を把握する
-
現場で迷ったときは最新のガイドラインや上司に相談する
看護師として適切な知識を身につけることで、安全な医療を提供し、患者さんに寄り添う看護を実践していきましょう。