看護師の業務範囲を徹底解説!保健師助産師看護師法と実務のポイント
2025.02.17掲載

看護師の業務範囲を徹底解説!保健師助産師看護師法と実務のポイント

1. はじめに:看護師の業務範囲を正しく理解しよう

看護師の仕事は、医療現場で重要な役割を果たします。しかし、「どこまでが看護師の業務なのか」「医師の指示が必要な行為とは何か」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

看護師の業務は「保健師助産師看護師法(以下、保助看法)」に基づき明確に定められています。しかし、実際の現場ではグレーゾーンの業務も多く、正しく理解しておかないと、法的リスクを伴う可能性もあります。本記事では、看護師の業務範囲を法律の視点から解説し、実務におけるポイントを詳しく紹介します。


2. 保健師助産師看護師法とは?看護師の業務範囲の基本

2-1. 保助看法の概要

保助看法は、保健師・助産師・看護師の業務範囲を規定する法律です。この法律の目的は、適切な医療の提供と患者の安全を守ることにあります。看護師の業務は、保助看法の第5条において以下のように定められています。

2-2. 看護師の業務範囲(第5条の規定)

保助看法第5条では、看護師の業務について「療養上の世話」と「診療の補助」の2つに分類されています。

  • 療養上の世話

    • 患者の身の回りのケア(食事・排泄・清潔ケア)

    • バイタルサイン測定

    • 生活指導や健康相談

  • 診療の補助(医師の指示が必要):

    • 注射、点滴、採血

    • 傷の処置、ドレーン管理

    • 吸引、カテーテル管理

    • 人工呼吸器の管理

これらの業務を適切に遂行するためには、医療現場のルールを理解し、必要な資格や研修を受けることが重要です。


3. 看護師ができること・できないこと

3-1. 医師の指示が必要な行為

診療の補助に該当する行為は、医師の指示のもとで実施しなければなりません。以下のような業務は、看護師単独では行えないため注意が必要です。

  • 医療行為:診断・治療・処方

  • 手術や医療機器の操作(医師の指示なしでの操作は禁止)

  • 診断書や処方箋の発行

3-2. 看護師単独でできる行為

一方で、療養上の世話に分類される業務は、看護師の判断で実施できます。

  • 患者の清拭・口腔ケア

  • 体位変換、褥瘡予防

  • バイタルサイン測定(血圧・体温・脈拍の測定)

  • 生活指導(食事・運動・感染予防)


4. 現場で混同しやすい業務の具体例

実際の現場では、「これは看護師ができるのか?」と判断に迷う業務もあります。

4-1. グレーゾーンの業務

  • インスリン自己注射の補助 → 指導は可能だが、医師の指示が必要

  • 胃ろうの管理 → 医療的ケアを含むため、適切な指示が必要

  • 誤薬対応 → 原則として医師の判断が必要

これらの業務を適切に行うためには、最新のガイドラインを確認し、医師や他職種と連携を取ることが重要です。


5. 看護師が業務範囲を理解するメリット

看護師が自身の業務範囲を正しく理解することで、以下のメリットがあります。

  1. 法的リスクの回避

    • 違法な医療行為を行わないことで、医療訴訟や処罰のリスクを避けられます。

  2. スムーズな業務分担

    • 医師や他職種と適切に連携し、無駄な業務を減らせます。

  3. キャリアアップにつながる

    • 法律や業務範囲の知識を深めることで、管理職や専門職へのステップアップが可能になります。


6. まとめ:正しい知識で安全な医療を提供しよう

看護師の業務範囲は、保助看法によって明確に規定されています。しかし、現場では判断が難しい業務も多く、法律と実務の違いを正しく理解することが重要です。

  • 「療養上の世話」と「診療の補助」を理解する

  • 医師の指示が必要な業務とそうでない業務を把握する

  • 現場で迷ったときは最新のガイドラインや上司に相談する

看護師として適切な知識を身につけることで、安全な医療を提供し、患者さんに寄り添う看護を実践していきましょう。