【2024年最新版】特別養護老人ホームの基礎知識
2024.10.09掲載

【2024年最新版】特別養護老人ホームの基礎知識

特別養護老人ホーム(「トクヨウ」とも呼ばれます)は、介護が必要な高齢者が長期的に生活できる施設です。高齢化が進む日本社会において、介護施設は重要な役割を果たしていますが、その中でも特別養護老人ホームは、要介護度の高い人が安心して生活できるよう支援を行う施設として注目されています。

この記事では、

 

    • について詳しく解説します。

 

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホームは、介護が必要な高齢者が日常生活を送る施設で、特に要介護度3以上の人々が入居対象となります。要介護度が高いため、家族による介護が困難なケースや在宅介護が難しい場合、特別養護老人ホームは頼りになる選択肢の一つです。この施設は、公的な支援を受けることで費用が抑えられ、経済的負担が少なく済むことが大きな特徴です。

例えば、民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などに比べて、特別養護老人ホームの入居費用は比較的安価です。入所待ちが発生することもありますが、地域ごとの事情によって異なり、入所待機期間が数ヶ月から数年にわたることもあります。特に都市部では待機者が多い傾向がありますが、2015年に入所基準が見直されたことで、待機者数は減少傾向にあります。

施設の形態としては、主に「従来型」と「ユニット型」の2種類があります。従来型は、複数人が1部屋で生活する4人部屋が基本で、施設全体が広範囲にわたって介護を提供する形式です。これに対して、ユニット型は個室が中心で、10人前後の小グループに分かれてケアが行われる点が特徴です。ユニット型では個別ケアが重視され、利用者一人ひとりのプライバシーや尊厳がより保たれやすい環境が整えられています。

 

特別養護老人ホームで働く職種

特別養護老人ホームでは、多岐にわたる専門職が集まり、連携して介護やケアを提供しています。ここでは、特養で働く主な職種について紹介します。

1. 介護職員

介護職員は、日常生活の介助を中心に行います。食事、入浴、排泄、着替えなどのサポートが主な業務であり、利用者の生活全般に関わります。利用者の要介護度や個々のニーズに応じて、細やかなケアを提供することが求められます。

2. ケアマネージャー

ケアマネージャーは、利用者一人ひとりに合ったケアプランを作成し、その計画に基づいて適切な介護が提供されるよう管理する役割を担います。利用者やその家族と密に連絡を取り合い、ニーズに応じてサービス内容を調整したり、新たな介護サービスを導入したりします。

3. 看護師

看護師は、利用者の健康管理や医療ケアを担当します。特に、医療的ケアが必要な利用者に対しては、点滴や経管栄養、胃ろうなどの医療処置を行い、日常的な健康状態のチェックも行います。介護職員と協力しながら、利用者の健康を支える重要な役割を果たします。

4. 栄養士

栄養士は、利用者の健康状態や嗜好に応じた食事を提供するための献立を作成します。高齢者の多くは、食事から必要な栄養素をしっかりと摂取することが健康維持に直結するため、栄養士の役割は非常に重要です。特に、嚥下障害や食事に制限がある利用者に対しては、工夫を凝らした食事の提供が求められます。

 

関連資格

特別養護老人ホームで働くためには、専門的な知識やスキルが必要です。ここでは、関連する資格について説明します。

      • 介護福祉士:介護のプロフェッショナルとしての資格で、国家資格にあたります。多くの施設で重視される資格です。
      • 介護職員初任者研修:介護職の入り口となる研修で、基礎的な介護技術や知識を学びます。
      • 介護職員実務者研修:初任者研修の次に位置する資格で、より高度な技術を習得できます。介護福祉士を目指す方にとっては必須のステップです。
      • 認知症ケア専門士:認知症の利用者に対する専門的なケアを提供するための資格です。
      • 社会福祉士:福祉全般に関わる支援や相談業務を行う資格で、相談援助業務を担当することが多いです。
      • 看護師:医療処置や健康管理を行うための国家資格です。

 

提供されるサービス一覧

特別養護老人ホームでは、利用者が快適に生活できるよう、さまざまなサービスが提供されます。以下に、主なサービスを紹介します。

      • 食事の介助:利用者の食事を支援し、必要に応じて嚥下障害がある方には特別な食事形態を提供します。
      • 入浴の介助:安全かつ快適に入浴ができるよう、サポートします。
      • 排泄の介助:利用者の自尊心を尊重しながら、排泄をサポートします。
      • 着替えの介助:日常的な身支度を支援し、利用者が快適に過ごせるように配慮します。
      • 見守りや生活相談:日常生活での困りごとや不安を解消するための相談業務を行います。
      • リハビリテーション:身体機能の維持や回復を目指して、定期的なリハビリを行います。
      • 医療処置:胃ろう、経管栄養、たん吸引、点滴などの医療ケアが必要な利用者に対応します。
      • 服薬管理:利用者が必要な薬を正しく服用できるようにサポートします。
      • レクリエーション:利用者の生活に彩りを添えるためのレクリエーション活動を提供します。
      • 看取り介護:終末期のケアを行い、利用者が穏やかに過ごせるよう支援します。
      • 医療機関との連携:必要に応じて、外部の医療機関と連携し、利用者に適切な医療を提供します。
      • 在宅復帰支援:可能な限り、利用者が自宅で生活を再開できるよう支援します。

 

特別養護老人ホームで働くメリット

特別養護老人ホームで働くことには、多くのメリットがあります。まず、要介護度が高い利用者に対して、プロフェッショナルとしての介護技術を活かすことができる点です。利用者一人ひとりの状況に応じたケアが求められるため、介護職員として成長する機会が多くあります。

また、24時間体制でのケアが提供されているため、夜勤や日勤などさまざまな時間帯での介護経験を積むことができます。これにより、利用者のさまざまなニーズに応じた対応力が身に付くのはもちろん、幅広い経験が自信となります。

さらに、施設によっては定期的な研修が行われ、最新の介護技術や知識を習得できる環境が整っています。キャリアアップを目指す人にとっては、ケアマネージャーや管理職への道を切り開くためのステップとしても大いに役立ちます。

 

まとめ

特別養護老人ホームは、高度な介護を必要とする高齢者に対して、多様なサービスを提供する施設です。介護職として働くことで、日々の業務を通じて豊富な経験を積むことができ、介護技術の向上が期待できます。また、働くことで得られる知識やスキルは他の職場でも評価され、将来的にはケアマネージャーや他の専門職へのステップアップを目指すことが可能です。特養での仕事は、介護のプロフェッショナルとしての道を切り開くための貴重な経験となるでしょう。