介護・看護・保育求人のヒューマンステイです。
2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大により私たちを取り巻く環境は様変わりしました。その影響は仕事や雇用の面でも大きく、業界全体が大打撃を受けたり、やむなく倒産に追い込まれたり、新卒募集を取り止めた企業も少なくありません。
新型コロナウイルスの流行以前から慢性的な人手不足が叫ばれていた介護福祉業界。
今後加速するだろう少子高齢化により人手不足の状況が続くことは想像に難くありませんが、依然として続くこのコロナ禍においては、介護福祉業界はどのような影響を受けているのでしょうか。
◆「人手不足」感は 改善の気配無し
特に令和2年に最初の緊急事態宣言が発令された際には、コロナウイルスへの感染不安から一時的にデイサービスやショートサービス等の利用を控える高齢者の姿も多く見られました。
しかしながら、一時的にサービスの利用数が減ったとしても、現場では「消毒」「検温」「接触機会の削減」や「感染予防のための様々なルールの周知徹底」等、細やかな注意を求められる局面も多くなり、今まで行っていなかった業務が一気に増えることとなりました。
その結果、現場での負担感は増えることはあっても決して減ることは無く、実際に介護業界で働くスタッフからは「人手が足りない」という声が多く挙がっている状況だといえます。
さらに仕事と子育てを両立している介護従事者の場合、ここ2年間の度重なる緊急事態宣言により、自身の子どもの預け先と仕事との調整が上手く行かずに離職せざるを得なくなったり、外国人の出入国に制限がかかったり等の影響が出ています。
これまで積極的に外国人の採用も行ってきた施設がそれを断念することになる等、コロナウイルスの流行による影響は、複合的に介護業界の人材不足に拍車をかけている現状が見受けられます。
2021年9月時点で職種全体の有効求人倍率が1.16だったのに対して、介護サービスの職業の有効求人倍率は3.63として高く、データからも依然として人手不足であることがうかがえます。
◆資格登録者数は増加傾向
このように、「売り手市場」であることが分かる介護福祉業界では、他の業界のように新型コロナウイルスの流行により新卒採用の人数が大幅に減ったという傾向はあまり見らないようです。
これは、介護職は専門性が高いことから、もともと大学の福祉学部に在学中に資格を取得した学生を採用することが多く、新型コロナウイルスの影響を直接的に受けることが無かったことも理由として考えられます。
さらに、最近では少子化により就職者数そのものが減ってきているという状況に伴い、福祉学部以外の学部の生徒からも積極的に採用を行っている企業も増えてきているようです。
中途採用においても、介護福祉士は介護職で唯一の国家資格ということもあり、コロナ禍で転職を余儀なくされたり仕事を失ったりした人が、売り手市場である介護業界に安定性を求めて新たにキャリアチェンジを図るという例も珍しくありません。
ハローワークの職業訓練を利用して介護福祉士養成施設を卒業し転職をするという方法もあり、新型コロナウイルスの影響により他業界からの人材の流入もあるようです。
公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの「登録者の資格種類別-年度別の推移」によると、令和2年度の時点で介護福祉士の資格登録者数自体は年々増えていっており、ここ10年間は特に右肩上がりに増加傾向にあることが分かります。
◆コロナ禍でもとめられることは?
このように、コロナ禍において新たな人材流入も見られる介護福祉業界ですが、人材を確保できても早期離職することなく長期間働ける環境を作っていかなくては、結局のところ慢性的な人手不足の解消にはつながりません。
介護福祉の現場では、他業種のようにコロナウイルス感染拡大時に「勤務時間の短縮」や「テレワークの導入」等の対応をとることができません。
介護という仕事柄、業務量を劇的に減らすということにも、やはり限度があります。また、他者と接触する機会も多いため、どうしても感染リスクが高くなってしまうことも否めません。そのため、介護福祉に携わる企業にはこのような環境の変化にできる限り対応できる柔軟性が求められるといえます。
そして、限りある人員の中でもいかに「働きやすい」と感じてもらえるか、採用後の人材育成が充実しているか、取るべきタイミングで休みをしっかりと取ることができるか等、風通しの良い職場環境作りに積極的に取り組んでいくことがポイントとなりそうです。
実際に、人手不足が叫ばれている状況の中でも、魅力的な職場環境作りに成功している介護施設では、新型コロナウイルスの流行に関わらず安定的に一定の人材を確保することができているという指摘もあります。
一方、「働く側」としては、コロナ禍においては事前の職場見学や研修等の機会が以前に比べるとどうしても少なくなってしまうことが課題として挙げられます。
売り手市場ということもあり、コロナ禍であっても就職・転職活動そのものは他業種と比べるとどちらかといえばスムーズに進めていくことができるでしょう。
しかし、事前に見学や体験をする機会が少なくなっているがゆえに、いざ働き始めてみると「思っていたのと違った」「イメージしていた雰囲気ではなかった」「全然休みが取れない」等、マイナスの側面が目についてしまい早期離職という結果につながりかねません。
そのため、見学等の機会が少ない中でも、できるだけ積極的に職場の雰囲気を事前に見ることができる機会を得るように働きかけていくことが必要といえます。採用面接の際に直接問い合わせてみても良いでしょう。
また、コロナ禍であっても各地域の福祉協議会では介護の職場体験事業を行っている所も多数あります。感染の拡大状況によって体験できる内容や日数に制限等がある場合もありますが、利用者との交流や介助等を体験することで、実際の仕事のイメージが掴みやすくなるので活用してみるのも良さそうです。
この他にも、転職エージェントを活用して業界の様々な情報を得たり職場見学等の申し込みの代行や希望条件と求人とのマッチングを依頼したりすることもできますし、採用面接の際にも職員の平均年齢や利用者の平均介護度や年齢など、できる限り具体的に質問をしておくことで仕事のハードさや現場がどの程度スムーズに回っているのか等、事前に職場の様子を知ることもできるでしょう。
このように、コロナ禍という制約のある状況の中では、企業側が「いかに働きやすい環境を提供することができるか」、働く側は「事前に見学や体験をする機会が限られた中でいかにイメージと現実とのギャップを埋めることができるか」、ということが慢性的な人手不足を解消するためのひとつの糸口となるといえるのではないでしょうか。
コロナ禍でも「勤務時間の短縮」や「テレワークの導入」等の対応をとることができない介護職。しかし、コロナ禍であっても就職・転職活動を比較的スムーズに進められる職種でもあります。
介護職を始めたい方、介護に携わり悩みのある方、ぜひヒューマンステイ担当者にぜひご相談下さい!どんな些細な事でも相談大歓迎です。
<参考>
MORE REJOB「売り手市場が続く介護業界、コロナ後でどうなる? 採用動向2021」
https://relax-job.com/more-health/11223
介護求人ナビ 「有効求人倍率が高い職種は?【2021年9月最新データ】」
https://www.kaigo-kyuujin.com/oyakudachi/topics/65751/
学校法人読売理工学院 読売理工医療福祉専門学校 「介護福祉士の需要と将来性を徹底解説!」
https://www.yomiuririkou.ac.jp/column/clinical/careworker_demand.html
厚生労働省 一般職業紹介状況(令和3年9月分)
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000847314.pdf
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「登録者の資格種類別-年度別の推移」
http://www.sssc.or.jp/touroku/tourokusya.html
東京都社会福祉協議会 「介護人材確保対策事業」
https://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/kaigojinzaikakuho.html#taiken
大阪府社会福祉協議会 大阪福祉人材支援センター 「職場体験事業」
http://www.osakafusyakyo.or.jp/fcenter/Cms/public/topic/5