【徹底解説!】新社会人の方向け保険の基礎知識を増やそう。国保と健保について解説
2023.04.27掲載

【徹底解説!】新社会人の方向け保険の基礎知識を増やそう。国保と健保について解説

「新社会人になり、新しい会社に就職しました。いまいち、健康保険と国民保険のことがよくわからない。保険は、どれも同じでしょう」と、このようなお悩みの方は、必見です。新卒で入社して、新しい職場で働きだしましたね。元気に働く上で、万が一ケガや病気になったときには、保険があると安心できるでしょう。

 この記事でわかることは、健康保険の基礎知識をご紹介します。大きなテーマは、3つあります。

  • 健康保険の概要
  • 健康保険の種類、メリットデメリット
  • 転職や退職時の健康保険について

 一見難しそうな健康保険。この健康保険の基礎知識を理解することで、万が一けがや病気になったとしても安心した生活を保障することができます。まだ、「私は、若いし元気だから健康な身体。病気やケガは、心配しなくてもいい。」と考えている方は、危ないです。ぜひ、この記事を見ることで、健康保険の基礎知識がわかりこれから社会人生活何十年と安心した生活を送れます。

では、いってみましょう。

健康保険とは

 健康保険制度は、けが、病気にかかったときに必要な給付を受けられる社会保険の一種です。
日頃から加入者が保険料を支払うことで、財源が出来必要な時に、必要な方へ保険給付を受けられるしくみとなります。公的な医療保険制度。健康保険は、医療保険制度のひとつとなります。
 健康保険の目的は、何でしょうか。次章にて、解説していきます。

健康保険の目的

 健康保険は、万が一病気やケガをしても病院に受診することができます。もし、健康保険に加入していないと、全額負担となるため金銭面でとても苦労する可能性があるからです。健康保険を管理、監督するのは、全国健康保険協会または健康保険組合です。あなたが、加入されているのはどちらか確認をしてみましょう。
 ここで、マメ知識をご紹介します。健康保険に加入する労働者を「被保険者」と言います。これを機に覚えておきましょう。
 あなたは、社会人となりました。会社を通して、社会保険の手続きをしましょう。もし、わからないことがあれば、大切な保険のため、会社担当者へ問い合わせをしてみましょう。

 

健康保険の対象者とはどんな人?

 対象者となる方は、どのような方なのでしょうか。保険に入る加入条件は、大きく分けて2つあります。では、チェックしましょう。

加入条件1:短時間労働者に対する健康保険

短時間労働者に対する条件は、5つあります。

  • 週の所定労働時間が、20時間以上であること
  • 雇用期間が、1年以上見込まれること
  • 賃金の月額が、¥88,000以上であること
  • 学生でないこと
  • 従業員101名以上の企業で働いていること

2つ目の加入条件は、何でしょうか。解説していきますね。

加入条件2:令和4年10月から短時間労働者に対する健康保険の適用拡大

 法律が改正されたことにより、短時間労働者の健康保険が、拡大されました。「短時間労働者」
 雇用期間が、2か月を超えて見込まれることです。短時間労働者の方でも、安心保障を受けられますよ。改正されたことで、長い期間同じ環境で働くことができます。
では、次に健康保険にはどのような種類があるのでしょうか。詳しくご紹介していきましょう。

 

健康保険は、どのような種類で違いは何?

種類1:国民健康保険

 国民健康保険は、あなたがお住まいの市町村が保険者になります。健康保険は、あなたが働く会社の勤務先で所属する健康保険団体が保険者となります。誰でも、いつでも平等の国民保険です。日本は、国民皆保険制度です。主に、個人事業主とフリーランス、未就学者が該当します。日本に生活ベースがある方が、対象となります。

市町村国保  保険者:⁠市町村
被保険者:個人事業主、未就学者
 
 他の医療保険制度に加入されていない住民を対象とした、医療保険制度となります。都道府県や市町村が、保険者となる市町村国保と会社ごとに組織される国民健康保険組合から成り立っています。何か疑問があると、市町村国保の国民健康保険の窓口まで問い合わせをしてみましょう。

<扶養認定について>
 扶養認定は、健保にある制度で国保はありません。扶養家族が多い家族と健保よりも国保のほうが保険料の負担が重くなることがあります。国保の被保険者の家族は、加入できる公的な医療保険がない場合、国保の被保険者となります。その分の保険料を負担しなければなりません。保険料の計算方法は、自治体や国保組合により異なります。被保険者となる家族の数に比例して保険料の負担額も増えていきます。あなたが、お住まいの自治体へ問い合わせをしてみましょう。

 次は、どのように保険料が算出されているのかをご紹介していきましょう。難しいと思われる計算ですが、一部具体例を出します。あなたの保険料がいくらかになるかをご自身で、計算して見て下さいね。
 国民健康保険の保険料算出方法をご紹介します。

 では具体例を説明していきましょう。世帯構成は自営業(35歳、所得金額2、千万円)、主婦パート35歳、所得金額600千円)、小学生8歳の家族がいました。

医療分 所得割(2,000-330)+(600-330)=1,940千円×7.14%=138,516円
均等割り3人×39,900円=119,700円

後期高齢者医療分 所得割(2,000-330)+(600-330)=1,940千円
1,940千円×2.29%=44,426円

 均等割 3人×12,900=38,700円となります。次は、健康保険についてご紹介していきます。

種類2:健保(健康保険)

 健保(健康保険)は、社会保険の適用事業所にお勤めの方が対象です。
 強制的に健保に加入することが、義務付けられます。事業主や本人の意思に関わらず、強制的に健保に加入することが求められます。働いていて、万が一怪我をしても、安心して手当を受けることができます。
次は、協会けんぽについて、ご紹介します。

・協会けんぽ
 保険者:全国健康保険協会
 被保険者:主に中小規模の事業所で働いている方が、対象です。

 いざ、病院に通院するとどれくらい金額を負担するのか不安ですよね。次に、自己負担割合をご紹介します。あなたは、どのくらい負担額があるのかをご紹介していきますね。

医療費の自己負担  
小学校入学前 2割負担
小学校入学後から70歳未満 3割負担
70歳以上から75歳未満 2割負担
75歳以上 1割負担

あなたは、何割負担になるのかわかりましたか。では、計算方法に違いがあるのかを見ていきましょう。

健康保険の場合
標準報酬月額×保険料率=ひと月あたりの健康保険料
ここで、具体例をあげてみます。
月収が、25万円年収300万円とします。標準報酬月額は、26万円となります。保険料率9.81%をかけると月額の保険料は、260,000×9.81%÷2=12,753円

 年間保険料は、次の通りです。

月額の保険料    年間の保険料
12,753円×12か月=153,036円

 次に、国民健康保険の場合を解説していきます。

所得割+均等割+平等割+資産割=国民健康保険料(1年間の金額)
所得割:(去年1年間の租特金額ー43万円)×所得割率
均等割り:均等割額×加入者数
平等割:定額

計算方法 保険料は、所得割と均等割りの合計となります。まず、所得割を計算します。年間給与収入200万円。給与所得132万円、所得割率は、9.44%となります。
所得割は、
給与所得       所得割率    所得額
(132万円ー43万円)×9.44%=84.015円

均等割額×加入者数=均等割り 55,300×1人=55,300円
次に、所得割と均等割りを合計して保険料を計算します。

所得割+均等割=1年間の保険料 84,015円+55,300=139,315円

 次は、後期高齢者医療制度の概要を説明していきます。
 後期高齢者医療制度は、どのような仕組みになっているのでしょうか。全体の概要を解説していきます。あなたは、「まだ社会人になって関係ない」と思っていませんか。いずれあなたも年を取り必ず関わる保険です。全体像を把握しておくだけでも知識が、定着できます。後期高齢者医療制度についてご紹介します。では、いってみましょう。

 

種類3:後期高齢者医療制度の概要

 所得が高く医療費の低い現役世代は、被用者保険に多く加入します。
 一方、退職して所得が下がり医療費が高い高齢期になると国保に加入するという課題に直面します。高齢者医療を社会全体で支える体制が必要となります。75歳以上において現役世代からの支援金と公費で約9割を賄うこととされています。65歳から74歳について保険者間の財政調整を行う仕組みを設けています。

後期高齢者医療制度の概要
<対象者数>
 
75歳以上の高齢者   約1,610万人

<後期高齢者医療費>
 16.0兆円
  給付費  14.8兆円
患者負担  1.2兆円

<保険料額>
 全国平均  約5,670円/月
 基礎年金のみを受給されている方は、約370円/月となります。

次は、被扶養者は、どこまでの方が対象となるのでしょうか。順番に解説していきますね。

 

被扶養者の範囲 

 健康保険の被保険者が配偶者と子どもの家族を養っていることを「被扶養者」と呼びます。健康保険では、被保険者の被扶養者について被保険者と同等に保険の給付を受けることができます。健康保険において被扶養者になる方は、おもに被保保険者に生計を維持されています。

 被扶養者の年収が130万円未満で、被保険者の年収の半分未満であるかどうかです。被保険者と被扶養者が一緒に暮らしていない場合は、被扶養者の年収が被保険者の年収の半分未満であるかどうかです。

 被扶養者になるには、2つの条件があります。
1:被保険者に生計を維持されていることだけが条件になる者。
2:生計の維持と同居していることの2つが条件となる者。

療養の給付について

 現物給付として、療養の給付ができます。業務外の病気、ケガについて病院や診療所で診察を受けたり、手術を受けたりすることが可能となります。薬局で、薬を調剤してもらったときも支給されます。しかし、治療費用のすべてが支給されるわけではないので、被保険者は診療を受けるごとに一部負担金を支払うことになります。一部負担金は、かかった医療費のうち一定割合を負担します、療養の給付範囲は、次の通りです。ぜひ、チェックしてみてくださいね。

療養の給付の範囲
1:診察                  診断を受ける為の行為
2:薬剤、治療材料の支給          投薬、注射、消耗品な材料
3:処置、手術、治療            治療とは、理学的療法、マッサージ
4:居宅上における管理と世話の看護     寝たきり状態にある人に対する訪問診療、訪問看護
5:病院、診療所への入院と治療に伴う世話  入院のこと。入院中の看護の支給は、入院診療に含まれます。
 
 次は、国保と健保のメリットデメリットについて解説します。

国保(国民保険)と健保(健康保険)のメリット・デメリット

 それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

健保(健康保険)メリット・デメリット

 健保の魅力は、手厚い保障があることです。
健保のメリットは、4つあります。
・扶養認定制度
・任意継続制度
・保険料が、労使折半
・保険給付の内容が、手厚い。傷病手当、出産手当金がある。

<デメリット> 保険料は、収入に対して比例し高額になること。

国保(国民保険)のメリット・デメリット

<メリット>
・保険料が、収入に関係なく定額(組合国保)

<デメリット>
・扶養認定制度がない
・健保と比較すると、保険料が割高。
・傷病手当金、出産手当金がない。
・自家診療は、保険給付の対象外。

 2つの国保と健保を比較することができました。健保の方が保険料、給付でメリットが大きいでしょう。
あなたの保険証をお手元にご用意してみてください。保険者番号により、健康保険の番号がわかります。チェックしてみましょう。

保険証からの見分け方

 あなたの健康保険証は、どのように記載されていますでしょうか。「保険者番号」「保険者名称」が書かれています。保険者は、健康保険を運営している団体です。被健康保険の場合は、8桁の数字が「保険者番号」で、最初の2桁が法別番号となります。この数字で加入している健康保険の種類がわかります。
 健康保険の種類と「法別番号」は、次の通りです。

主な被用者健康保険
保険者番号「01」:協会けんぽ
保険者番号「02」:協会けんぽ(船員保険)
保険者番号「06」:組合健保
保険者番号「31」:国家公務員共済組合
保険者番号「32」:地方公務員共済組合(警察共済組合)
保険者番号「34」:地方公務員共済組合(公立学校共済組合と日本私立学校振興・共済事業団)

国保:保険者番号は、6桁です。法別番号は、ありません。
国保組合:保険者番号は、6桁です。法別番号は、ありません。

後期高齢者医療制度 
 保険者番号「39」:後期高齢者医療制度

 今後、会社を退職することが、あった場合どのように対応したらいいのでしょうか。会社を退職した後についてご紹介します。

退職したら、健康保険証は使えない

 健康保険は、会社を退職すると加入資格を失います。在職中に使っていた健康保険証は、会社を通じて返却しなければなりません。国民すべてがいずれかの公的医療健康保険制度に加入することとなっています。退職をして、やるべきことがたくさんあり、忙しい気持ちはわかります。しかし、退職をして手続きをしっかりと行いましょう。退職したばかりで、新しい就職先が決まっていなければ、国保(国民保険)への切り替えが必要です。そして、新しい転職先が決まっていれば、次の新しい会社で健康保険証の手続きを行うことをオススメします。

転職をしたら、新しい健康保険証をもらう

 まず、転職をしたら健康保険の手続きをします。もし、まだ手続きが完了をしていなければ会社の方に確認をしてみてください。転職前に使用していた健康保険証は、使用できません。しかし、大切な健康保険証について、忘れずに手続きを行うことをおすすめします。

資格を失っても継続する保険給付3種類

種類1:傷病手当

 資格喪失の前日まで、1年以上継続して健康保険の被保険者であること。傷病手当金の支給を受けるには、連続して3日間仕事を休む事情となった場合のみです。3日間は、いつから数えるのかを確認しましょう。
 傷病手当金の支給額は、1日につき標準報酬日額の2/3相当額となります。ただ、会社からの賃金の一部が支払われたときは、傷病手当金と支払われた賃金の差額が支払われます。
 次は、出産した時の給付についてご紹介します。ぜひ、チェックしてみてくださいね。

種類2:出産手当金

 資格喪失日の前日まで1年以上、継続をして健康保険の被保険者であることです。出産は、病気やケガとは異なるため、費用について療養の給付を受けることができません。健康保険では、出産のため仕事を休んだ場合の賃金の補填と出産手当金を出産費用の補助として給付を出産育児一時金といいます。
 出産手当金の支給を受けることができるのは、出産日以後の42日から出産日後56日までの間となります。出産手当金の支給額は、休業1日について標準報酬日額の2/3相当額となります。会社などから賃金の一部が、支払われたときは出産手当金と支払われた賃金の差額が支給されます。
 次は、出産育児一時金をご紹介します。ぜひ、あわせてチェックしてみましょう。

種類3:出産育児一時金

 資格喪失日の前日まで1年以上継続をして健康保険の被保険者であること。資格喪失後の6か月以内に出産をすることです。被保険者の方が出産したときは、出産育児一時金として42万円支給されます。赤ちゃんを出産するときは、出産一時金が支給されるため手続きをしましょう。
 双子の場合は、42万円×人数分となります。参加医療補償制度に加入しない保険医療期間で出産したときは、支給額は、40万4,000円となります。
次は万が一、高額な治療費がかかった時の支給をご紹介します。

もし、高額な医療費がかかった時の給付は

 病院や診療所で、少ない負担でより良い医療を受けられます。しかし、長期入院や場合により手術を受けた時の自己負担が高額になることも予想されます。自己負担額が、一定の基準額を超えたら、高額医療費をご紹介します。
 高額医療費は、所得が低い方ほど手厚く支給されます。高額医療費は、被保険者や被扶養者が同じ月に同じ病院で支払った自己負担額が、高額医療費算定基準額を超えた場合、オーバーした部分の額が高額医療費として支給されます。高額医療費算定基準額は、一般の者、上位所得の者ほど自己負担額が高くなります。では、どのくらいの自己負担限度額があるのかをご紹介していきましょう。

医療費の自己負担限度額
 1か月あたりの医療費の自己負担限度額(70歳未満の場合)

標準報酬月額    自己負担限度額               該当金額
83万円以上     252,600円+(総医療費-842.000円)×1%   140,100円

標準報酬月額
53万円~79万円の方  167,400円+(総医療費-558,000円)×1%  93,000円

標準報酬月額
28万円~50万円   80,100円+(総医療費-267,000円)×1%   44,000円

一般所得者
標準報酬月額
26万円以下      外来18,000円             外来・入院費57,600円

低所得者
被保険者が市町村税の非課税者   35,400円          24,600円

 高額医療費は、上記の表でわかる通り所得が低い方ほど手厚く支給される仕組みとなります。たとえば、同じ月に同じ病院で、受診をするということが必要です。たとえ実日数が、30日でも次の月にまたがって2か月目にかかっている場合は、同じ月とはいえません。同じ診療科でも入院や通院別に支給の対象になるかどうかを計算します。

 1つ注意点があります。ベット代、食事医療費、光熱費などは高額医療費の対象とはなりません。高額医療費に該当するのかは、領収書に記載されています一部負担金が保険内か保険外かを見て判断してみてください。そして、何か不明点や疑問点などがありましたら、放置しておくのではなく、必ず問い合わせをしてみましょう。

 次は、高額医療費は、どのように計算をされているのかをご紹介します。

 高額医療費は、70歳未満と70歳~74歳までで自己負担額が異なります。この記事では、70歳未満の方を限定して、お伝えをしていきます。ぜひ、あなたも計算をしてみてくださいね。たとえば、具体例をあげて計算をしてみましょう。

 

52歳の男性のAさん。所得:一般
自己負担額
外来で、〇△病院に通院して、50,000円支払いをしました。外来療養の高額医療費を計算をしてみましょう。
50,000円-18,000=32,000
18,000円は、自己負担です。

 では、最後に健康保険についてまとめていきます。最後までしっかりとチェックしてみましょう。

まとめ:元気に働くためには、健康保険が大切

いかがでしたでしょうか。「保険」と一言で言っても、国保(国民健康保険)と健保(健康保険)がありました。この記事で、お伝えしたテーマは、3つありました。

  • 健康保険の概要
  • 健康保険の種類、メリットデメリット
  • 転職や退職時の健康保険について

 あなたが、健康で元気に働く身体が一番です。いつの時代も身体が資本だからです。

 しかし、いつ病気やケガをするか分かりません。あなたが、元気でいるのが1番。健康保険の知識を増やして、いつまでも即戦力となる身体を維持しましょう。そして、健康第一でいることが大切となります。