【今さら人に聞けない】給与明細の記載項目から見方までを簡単に解説
2023.04.20掲載

【今さら人に聞けない】給与明細の記載項目から見方までを簡単に解説

 大学を卒業して、いよいよ新社会人になりました。職場に入社して、およそ1か月。慣れない環境の中で働いてきました。頑張って、働いて嬉しい給料日。「働いて、待ちに待った給料日がきた。でも、銀行に振り込まれる手取り金額だけ分かればいいと思っていたらいい」と思っているあなたは、必見です。

給与明細には、あなたの総支給額から各種税金にかかる費用が記載されています。
この記事でわかることは、次の通りです。

  • 基本的な給与明細の構成
  • 給料プラス支給に関する項目
  • 給与明細に記載される控除額の計算方法

 銀行に振り込まれる金額だけ確認するのでは、不十分。そしてあなたは、1人暮らしをスタートしました。これからは、総支給額から、各種税金など費用を把握しておくことをおすすめします。給与明細に記載されている用語についても説明していきますね。初めは、言葉の意味が分からないかもしれません。しかし、用語に慣れてしまえば、人に聞くこともなくなるでしょう。
 将来の厚生年金や健康保険がわかることで、老後の安心材料が把握できますよ。では、さっそく記事をチェックしてみましょう。

基本的な給与明細の構成

給与明細は、3つの項目で構成されています。3つの項目を順番に解説していきます。

  • 1:支給額*会社から支払われる給与の金額:資格手当、住宅手当、通勤手当が記載されています。
  • 2:控除*給与から差し引かれる(控除される)額 :健康保険、厚生年金保険、所得税、住民税、共済費などです。
  • 3:勤怠*会社に出勤した日数、時間、有給消化日数、残業時間、深夜残業、労働時間、早朝手当、遅刻早退時間などが、記載されます。

 では、次に「支給額」の構成欄で様々な手当に関することを解説していきます。ぜひ、チェックしてみましょう。

給料の支給に関する項目

 給与明細は、基本給の他に色々と手当がつきます。明細書に記載されている名前とどういう手当なのかを把握してみましょう。給与の他に手当が、つくことでやる気とモチベーションが保てます。

 

基本給

 基本給は、給与のベースとなります。この基本給は、ボーナス、退職金の計算の基準にもなります。
計算される基礎として、経験・能力・勤続年数・年齢から判断されます。会社により年齢と勤続年数やスキルを磨くと加算される可能性がありますので、日々自己成長する意欲を持ちましょう。
 続いて、変動する残業費についてご紹介していきます。残業費は、ひと月ごとに変動するため、増減します。

残業手当

 残業手当は、通常勤務の後に残業したら付く手当です。法定労働時間は、1日8時間、週40時間を超えて働いた「時間外労働」に対する賃金。法律で、通常の労働時間または労働日の賃金計算額の25%以上の割り増し賃金を支払うことが義務付けされている。

◎残業計算方法は、次の通りです。
残業手当=時給(基本給から算出)×割増率(1.25以上)×残業時間

 残業手当をたくさん支給されることは、とても嬉しいことです。しかし、たくさん貰えることは、あなたのプライベート時間が少なくなるということ。ストレスをため込む前に、リフレッシュ方法を上手に取り組むことをおすすめします。
 次は、通勤手当についてご紹介します。あなたの自宅から職場までの通勤方法は、何を利用されていますか。チェックしてみて下さいね。

通勤手当

 通勤にかかる交通費に対して支給される手当。電車やバスなら定期代、自動車ならガソリン代が支給されるのが一般的。月に15万円以上なら非課税対象となります。会社の方に、申請してみましょう。
 次は、資格手当についてご紹介します。

資格手当

 福祉業界で働くあなたは、会社により資格手当が付くことがあります。苦労して取得したあなたの資格は、毎月の給与にプラスとなり反映されるでしょう。
 続いて地元から離れて働く場合に、追加で付与されたら嬉しい手当をご紹介します。

住宅手当

 たとえば、あなたの地元を離れ、都会で就職しました。家賃手当や住宅手当として、支給される会社があります。もし、これから一人暮らしを考えている方は、上司の方に相談してみるといいですね。

 給与明細の記載項目を一部ご紹介していきます。会社により、変化がありますのでご確認してみてくださいね。給与明細の見方をご紹介します。たくさんある用語と意味を理解しておきましょう。働いていたら、自然と耳にすることができます。しかし、はじめて聞く方は、どのような意味なのかを知っておくと、今後申請する時などに便利となります。

 次は、各種のさまざま名称が付いた日数をご紹介します。知らないのとでは、恥ずかしい思いをするかもしれません。ぜひ、チェックしてこの際に用語を覚えておきましょう。

就業日数:会社が定めた就業日数。

労働日数:勤務した日数。

欠勤日数:欠勤した日数。

有給取得日数:有給休暇を取得した日数。

有給休暇残日数:有給の残りの日数。

特別休暇日数:会社の定める特別給か、慶弔休暇など取得した日数。

労働時間:労働時間の合計時間。

残業時間:雇用契約で定められた労働時間を超えて働いた時間。

深夜時間:労働基準で定められた深夜22持から翌5持の間の時間。

休日労働時間:労働基準法で、定められた休日に働いた時間。休みの日に出勤したら付く手当です。

休日に出勤したら、いくら貰えるのかをご紹介します。
たとえば、給与が22万円、労働時間が160時間の方が6時間、休日労働しました。
計算によると11,137円の休日手当がもらえます。
まずは、1時間の時給を計算しましょう。
1時間の単価=22万円÷160時間=1,375円
◎残業手当=1,375円×休日労働6時間×割増率1.35=11,137円となります。

遅刻早退時間:遅刻や早退で勤務できなかった時間

夜勤手当:介護士や看護師は、施設または病院により夜勤になる。

家族手当:同居する家族がいたら、家族手当が付きます。

 続いて、控除額の計算方法をご紹介します。

 

給与明細に記載される控除額の計算方法

給与明細の控除は、主に8種類あります。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 厚生年金基金
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 所得税
  • 住民税
  • 共済費

社会保険料の計算

 あなたが、病気や怪我をした時に必要となる健康保険です。健康保険には、「健康保険組合」と「全国健康組合」の2種類があります。「法定控除」と「法定外控除」の2種類です、
社会保険は、公的な保険制度です。社会保険の種類は、厚生金、介護保険があります。
健康保険料の計算方法。
健康保険は、従業員とその家族が病気や怪我により医療機関で治療を受ける際の医療費の負担軽減をしてくれます。
社会保険は、課税対象から外され「社会保険控除」が適用されます。
健康保険料の計算式をご紹介します。 健康保険料=標準報酬月額×保険料率

 続いて、あなたが従業員の場合についてどのくらい支払いがあるのかをご紹介します。あなたは、ご自身で計算式に当てはめて計算しましょう。
従業員が負担する健康保険料=健康保険料÷2

 次は、雇用保険料について解説していきます。

雇用保険料

 雇用保険料は、ひと月の支給額(基本給プラス各種手当)×雇用保険料率で計算できます。雇用保険料率は、毎年見直しがされ変更される可能性があるため、チェックしておきましょう。

            自己負担    会社負担      雇用保険料率

一般事業        0.3%      0.65%       0.95%

農林水産・清酒製造事業 0.4%      0.75%       1.15%

建築事業        0.4%      0.85%       1.25%

 

 たとえば、総支給額が25万の場合を計算します。2,375円が雇用保険となります。そして、750円があなたの負担として天引きされることとなります。次は、厚生年金について、解説していきます。ぜひ、チェックしていきましょう。

 

厚生年金の保険料の計算

 厚生年金の計算式をご紹介します。厚生年金保険は、受け取る給与を一定の月額について、標準報酬月額保険料や年金額の計算に当てはめます。
 厚生年金保険の保険料は、毎月の給与と賞与に共通の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。厚生年金保険の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられました。

 保険料の種類      保険料額の計算方法
 毎月の保険料額  標準報酬月額×保険料率
 賞与の保険料額    標準賞与額×保険料率

 

 厚生年金の保険料率は、年金制度改正により段階的に引き上げられてきました。しかし、以後の厚生年金保険料率は、18.3%で固定されることとなりました。物価が、高騰しているご時世に引き上げることがなくなったのはありがたいですね。

 次は、老後が心配になる介護保険料についてご紹介します。「まだ、若くて自分には関係ない。介護保険料なんて必要ない。」と思いのあなたでも、知識を深めることをおすすめします。なぜなら、今は関係なくともいずれ年を取り介護保険料を支払うことが必ず来るから。ぜひ、チェックしてみましょう。

介護保険料の計算

 介護保険は、老後になって介護が必要な時の保険。加入する条件は、満40歳になったら自動で加入することとなります。あなたは、まだ新卒で社会人になったばかりで関係ないと思っていませんか。今は、関係ない介護保険ですが、いずれ40歳の年齢が来たら支払うことが義務化されています。しっかりと知識を増やしてみましょう。

介護保険料の式は、次の通りです。
介護保険料=健保組合の標準報酬月額×18.8/1000

年齢により、次の2種類に分けられます。
介護保険証 第1号被保険者65歳以上の方
 介護保険には、被扶養者はいません。夫も妻も被保険者として、それぞれに介護保険証(介護保険被保険者証)が交付されます。

第2被保険者40~64歳の方
 介護保険証が、必要になったときに市区町村の担当窓口で交付してもらいます。

介護予防サービス・介護サービスの利用条件
第1号被保険者65歳以上の方
 どのような原因であっても、介護が必要になったときは、市区町村に申請します。認定されるといつでもサービスを受けるが可能。
第2被保険者40~64歳の方
 脳血管疾患などの老化に伴う病気が原因で、介護が必要になった時に、自宅で療養の末期がんなどに限られます。
健康保険と同等、標準報酬月額に保険料率を掛けて算出します。あなたが半額負担してもう半分は、会社の職場が負担します。40歳未満の方は、介護保険料の支払いはありません。給与明細は、空欄となります。
 では、次に所得税の計算を解説していきます。ぜひ、チェックしてみましょう。

所得税の計算

 所得税は、国に納付する税金です。1年間のすべての所得から必要経費や控除額を引いた「課税所得」から税額を計算していきましょう。所得税や住民税は、課税所得をベースに計算します。
所得税の税率は、5%から45%の7段階に区分されています。
 課税される所得金額に対する所得税の金額は、次の通り。

課税される所得金額       税率       控除額
1,000から1,949,000円まで      5%        0円
1,950,000円から3,299,000円まで   10%       97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで   20%       427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで   23%       636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで  33%      1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで  40%      2,796,000円
40,000,000円以上          45%      4,796,000円

では、具体的な例をご紹介します。
課税される所得金額が、7,000,000円だった場合は、どうなるのかを計算してみます。
計算式は、こちらです。7,000,000円×0.23-636,000=974,000円

 次に、住民税の支払い計算をご紹介します。ぜひ、チェックしてみて下さい。

 

住民税の計算

 住民税は、お住まいの市町村により変動があります。住民税は、地域社会で必要となる費用を住民が負担するために徴収される地方税。「市町村民税」と「都道府県民税」を合わせたものが、住民税となります。

 住民税は、その年の1月1日に居住している場所で課税対象となります。原則、1月1日に住民票のある場所ということになります。1月1日以降に転居して、住民票を移動させても1月1日に住んでいた地域に納付することです。もし、違う地域から引っ越しをしてきたなら、住民税を納める地域を確認してみてくださいね。

個人の住民税は、5種類あります。
1:所得割   前年の所得銀学に応じて課税
2:均等割   定額で課税
3:利子割   預貯金の利子等に課税
4:配当割   上場株式等の配当等お呼び割引債の償還差益に課税
5:株式等畳と所得割  源泉徴収洗濯口座内の株式の譲渡益に課税。    

住民税の計算は、こちらです。同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下

同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合 45万円以下
 次は、組合費についてご紹介します。会社により、変動することがあります。あなたの会社はどうでしょうか。チェックしてみてください。

組合費

 会社によって、組合費があります。組合費とは、労働組合活動における労働組合員の交通費や会議費などに使われるお金。
 月額組合費は、非正規従業員組合費の組合費は、フルタイム就労組合が平均2,092円。短時間就労組合員が同1,301円となりました。金額は、会社により変動するため確認しましょう。
 短時間就労組合員の組合費は、フルタイム就労組合員の62.2%となります。

「毎月、月額で組合費が天引きされているけど、使い道が何に使われているのかわからない。」と疑問をお持ちになられているのではないでしょうか。そこで、組合費は、何に使われているのか使用用途をご紹介します。ぜひ、チェックしてみましょう。
 ある企業労働組合の例をみていきましょう。

1位:活動費      49%
2位:人件費関係    34.8%
3位上部団体関係費  13.1%

  もし、あまたの職場で何に使われているのかわからなかったら、一度上司の方に相談してみましょう。

労働基準に関する制度

あなたが、働く上で重要な労働に関する法律をまとめました。チェックしてみましょう。

労働に関する法律は、5種類あります。

  • 労働基準法
  • 最低賃金法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法
  • 労働契約法

では、順番に解説します

<労働基準法>
昭和22年制定。労働条件に関する最低基準を定めています。
賃金の支払いの原則   直接払い、通貨払い、員額払い、毎月払い、一定期日払い
労働時間は原則     1週40時間で、1日に換算すると8時間勤務となります。
時間外・休日労働は、労使協定の締結
割増賃金は、時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上と決められています。
次は、最低賃金法です。

<最低賃金法>
最低賃金制度とは。
最低賃金法に基づき国が沈金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払
わなければならない制度です。
仮に、最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
昭和34年労働基準法から派生した制度です。賃金の最低額を定める法律となります。

法律第137号 地域別最低沈金   各都道府県ごとに、産業や職種を問わずすべての労働者と使用者に適用する。
令和4年度全国最低賃金平均時間額は、961円でした。
特定最低賃金   原則、都道府県の特定の企業について決定されます。
次は、労働安全衛生法をご紹介します。

<労働安全衛生法>
昭和47年労働基準法から派生。
1危険防止基準の確率
2責任体制の明確化
3自主的活動の促進
あなたが、働く労働の安全と健康を確保することを目的としている法律となります。
次は、労働者災害補償保険法をご紹介します。

<労働者災害補償保険法>
 昭和22年制定されました。業務上の事由や通勤による労働者の負傷、障害、死亡などに対して必要な保険給付などを行うことを目的としています。次は、労働契約法をご紹介します。

<労働契約法>
 平成20年3月1日施行。就業形態が多様化して、労働条件が個別に決定されるようになり、個別労働紛争が増加していました。それで、紛争の未然防止や労働者の保護を図るため、労働契約についての基本的なルールを分かりやすくした法律です。

ここで、疑問に思うQ&Aをご紹介します。

よくある4つの質問Q&A

給与明細について、よくある質問4つをご紹介します。あなたの疑問があるかチェックしてみましょう。

Q:紙明細からweb明細に、切り替えできますか?
A:登録をすれば、web明細に切り替えることができます。

Q:web明細を印刷できますか?
A:PDFに変換して、印刷することができます。

Q:マイナンバーは、退職時に自動的に削除されますか?
A:いいえ。マイナンバーが、記載された書類は、退職後の保管期間があります。7年間保管される義務があります。給与計算上で、従業員を退職にされてもマイナンバーは、削除されませんのでご注意ください。

Q:退職者もマイページで源泉徴収表や過去の給与・賞与明細を確認できますか?
A:退職者もマイページで源泉徴収票、給与・賞与の明細を確認することができます。

 では、最後に給与明細についてまとめていきます。初めて給与明細書を貰った方でもわかるように解説していきました。もし、疑問に思ったことがあったら、もう一度戻って読んでみてください。そして、疑問や不思議にあることが解決しない場合は、会社の経理の方などに確認することをおすすめします。

 

まとめ

 いかがでしたでしょうか。初めて給与を貰い、明細を見た方は見慣れない言葉があり不思議に思うことがあるかもしれません。

 大学を卒業して、初めての給料。給料を貰い嬉しい気持ちです。しかし、冷静に総支給から、何が天引きされているのかを確認しましょう。銀行に振り込まれている金額を確認だけでは、不十分。給与明細から控除される項目を確認しましょう。今は、関係ないと思っていても、いつ病気や怪我など働けなくなるかわかりません。あなたの給与明細で、天引きされている項目と金額をもう一度振り替えてみましょう。

記事で、ご紹介したテーマは、こちらでした。

  • 基本的な給与明細の構成

3段階の構成

  • 給料プラス支給に関する項目

残業手当 資格手当 家族手当 通勤手当 住宅手当

 では、給与明細の項目を確認しましょう。項目は、次の通りでした。引かれる項目をおさらいしましょう。

  • 給与明細に記載される控除額の8つの種類

健康保険 厚生年金保険 厚生年金基金 介護保険 雇用保険 所得税 住民税 共済費

 各種の天引きされる税金を把握しましょう。
 名前だけ見ると、一見難しい名称がありました。社会人として、税金を納めるのは義務です。あなたが、社会人として活躍するために税金を納めることが大切。就職活動で、苦労して内定をつかみ取った仕事です。あなたの活躍が、社会に評価される給与明細をくまなくチェックしてみてくださいね。今は、まだ新卒で給与が低く落ち込むことがあるかもしれません。しかし、経験とスキルを重ねていくことで給与にも反映されてきます。落ち込む前に、やるべきことがまだまだたくさんありますよ。これからの働き盛りを社会に貢献していきましょう。