介護の仕事をするなら、将来的にケアマネージャーとなって活躍したいと思う人も多いのではないでしょうか。
介護を必要とする人の相談に応じ、介護サービスを提供する事業者と協力して、その人のニーズに合った介護サービスのプランをつくるのがケアマネージャー。
介護を受ける人と提供する人をつなぎ、円滑な介護を実現することを使命とする、高齢化が進む社会で重要な職業です。
今回はケアマネージャー試験について詳しく調べてみました。
◆ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?
・介護保険サービスの根幹を担う専門職
ケアマネジャー(正式名称:介護支援専門員)は、2000年の介護保険制度の開始に伴い誕生し、介護保険法によって定められた専門職。
介護保険サービスを利用するために必要なケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、関係する事業者や医療機関、自治体などと連携しながら、利用者一人ひとりに最適な介護サービスを提供できるようマネジメントします。
ケアマネジャーは介護職員をはじめとした福祉関係者、医療従事者、行政担当者など幅広い人たちと関わりを持ち、介護保険サービスを提供するうえでの中心的存在として重要な役割を担っています。
◆ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには?
一定の実務経験を満たしたうえで、ケアマネジャー試験の合格と実務研修の修了が必要です。
ケアマネジャーは国家資格ではなく都道府県ごとに登録・管理されている公的資格試験を
受けるためには、医療福祉系の国家資格や一定の実務経験が求められます。
■ケアマネジャー試験の受験可能条件
下記の①または②の業務に通算5年以上かつ900日以上従事することで、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を得られます。
①国家資格等に基づく業務
医師/歯科医師/薬剤師/保健師/助産師/看護師/准看護師/理学療法士/
作業療法士/社会福祉士/介護福祉士/視能訓練士/義肢装具士/歯科衛生士/
言語聴覚士/あん摩マッサージ指圧師/はり師/きゅう師/柔道整復師/栄養士/
管理栄養士/精神保健福祉士
②職種で該当する施設等でおこなう相談援助業務
生活相談員
支援相談員
相談支援専門員
主任相談支援員
※2018年の制度改定により、それまで受験資格として認められていた「5年以上の実務経験を持つ介護職員初任者研修修了者」等や「10年以上の実務経験を持つ無資格者」は受験要件から削除された。
■ケアマネジャー試験の概要
ケアマネジャー試験は、ケアマネジャーの業務に必要な専門知識と技術を習得する目的のもと、都道府県ごとに実施されます。
受験地は勤務先のある都道府県(受験資格に該当する仕事に従事していない場合は現住所のある都道府県)と決められており、自由に選ぶことはできません。
試験日と合格発表日は全国共通ですが、受験の申込み期間は各都道府県ごとに異なりますが、例年のスケジュールは次のとおりです。
6月〜7月:申込書類の提出期間 ※都道府県により異なる
10月中旬:試験日
12月上旬:合格発表日
合格基準点となる正答率は例年70%前後となっている。
介護支援分野:25問(1問1点)
保健医療福祉サービス分野:35問(1問1点)
計60問(60点満点)
ケアマネジャー試験の合格率は、受験要件改定後の直近4年間で10〜20%台で推移しており、医療福祉系の国家資格の合格率(介護福祉士約70%、看護師約90%)と比べても低い水準と
なっています。
■ケアマネジャー実務研修の内容
ケアマネジャー試験の合格後、次に待っているのは実務研修です。
実務研修は87時間以上の講義・演習、および3日間の実習から成るカリキュラムで、全日程を修了する必要があります。
研修の内容は全国一律ですが、日程は実施団体によって異なり、年に数回実施している都道府県もあります。
また講義の一部を動画視聴により自宅で受講できる場合もあります。
ケアマネジャー実務研修(介護支援専門員実務研修)の内容
前期課程(講義・演習)
研修内容:ケアマネジメントに必要な視点や専門的知識、技術について講義形式を
中心に習得する
研修期間:49時間
実習
研修内容:ケアマネジメントの基礎技術として、居宅介護支援事業所で
アセスメントシートやケアプランなどを作成する
研修期間:3日間
後期課程(講義・演習)
研修内容:実習で得た気づきや課題を振り返りながら、グループワークを中心に
演習をおこない、必要な知識や技術、倫理観を習得する
研修期間:38時間
ついに・・・
実務研修を終えると研修修了証明書が発行されますので、各都道府県の担当窓口で介護支援専門員の登録申請をおこないます。
登録が完了し介護支援専門員証が交付されると、晴れてケアマネジャーの仲間入りとなります。
◆まとめ
・5年ごとの更新研修がある。
・ケアマネジャーの資格は5年単位の更新制となっており、更新するには「更新研修」の受講が必要。
・研修時間は88時間や56時間など、ケアマネジャーとしての実務経験の有無や長さによって異なる。
勤務先には、特別養護老人ホーム等の介護保険施設や、在宅介護のためにケアプランの作成を行う居宅介護支援事業所などがあります。