介護業界には、施設利用者の送迎を行う「介護ドライバー」という職種があります。
送迎区間は利用者宅と介護施設・事業所となっており、行きは利用者宅から利用者を介護施設・事業所まで送り、帰りは介護施設・事業所から利用者宅まで利用者を送り届けます。
利用者を乗せるのは基本的に車いす対応の車両になるため、介護ドライバーは車いすの上げ下ろしや乗車・降車の介助なども行うことがあります。
なお、介護ドライバーを専属で雇用している事業所もあれば、送迎業務のほかに清掃業務や介護業務なども兼務させている事業所もあり、事業所によって働き方はさまざまです。
介護ドライバーの仕事内容
介護ドライバーの主な仕事は、介護施設の利用者の送迎業務です。
基本的には利用者を車に乗せ、介護施設・事業所と利用者宅の送り迎えをしますが、まれに講師の先生やイベント参加者など利用者以外の方の送迎を行うこともあります。
確実に業務が行えるように、車両は常にベストコンディションにしておく必要があるので、車両の整備や運行前点検も行います。
【運行前点検の実施項目の例】
〇運転席での点検
・ブレーキペダルの踏みしろやブレーキの利きの確認
・駐車ブレーキレバーの引きしろの確認
・エンジンのかかり具合や異音、低速・加速の状態
・機器の確認(ワイパーのふき取り状態、ウインドウウォッシャーの噴射状態)
〇エンジンルームの点検
・液量の確認(ウインドウウォッシャータンク、ブレーキのリザーバタンク、バッテリー)
・ラジエータなどの冷却装置水量の確認
・エンジンオイルの量の確認
〇車の周りからの点検
・灯火装置、方向指示器の点灯具合や汚れ、損傷の確認
・タイヤの空気圧、取り付けの状態、亀裂や損傷、異常な摩耗、溝の深さの確認
※点検の結果、異常を見つけたときはすぐに車両の管理者へ報告する必要があります。
基本的には介護職員が行うような介助業務を行うことはありません。
しかし、送迎時に介護職員が同乗せず、ドライバーが車いすの昇降や乗降時の介助をすべて1人で行うケースもあります。
介護タクシーとの違いは?
介護タクシーはタクシー会社や介護施設・事業所に雇われて、主に在宅で介護を必要とする方の通院や外出等での送迎を行うドライバーのことをいいます。
介護ドライバーの送迎区間があくまでも利用者宅から介護施設・事業所までであるのに対し、介護タクシーは通常のタクシーと同じように利用者が行きたいところに送る点で
異なります。
また、介護ドライバーの場合はその介護施設・事業所(主にデイサービスやデイケア)の利用者に限定されていますが、介護タクシーは在宅で介護を受けている人と介護施設・事業所に通っている人のどちらにも対応することができます。
介護ドライバーの勤務日数やシフト
各介護施設・事業所によって勤務日数やシフトは異なりますが、一般的に介護ドライバー専属の場合は週に3日~5日、1日5〜6時間勤務となります。
介護ドライバーの雇用形態はパート職員であることが多いため、比較的勤務希望が通りやすい傾向にあります。
介護ドライバーは勤務時間は決して長くなく、休日の希望も通りやすいため、他のドライバー業と比較して働きやすいといえるでしょう。
また、介護ドライバーと清掃業務などを兼務する場合、送迎業務以外の時間帯は清掃業務を行うことになります。そのため、通常の労働時間(実働8時間)となることが多いのですが、雇用形態はパート職員である場合がほとんどです。
介護ドライバーの必要な資格やスキル
未経験でも採用してくれる事業所はありますが、ドライバー経験があると転職は有利に働きます。
介護業界でなくても、旅客運転手など他業界の経験がある方は優遇されます。
介護ドライバーになるための資格として、普通自動車免許は必須です。
AT限定でもほとんどの介護施設・事業所では問題ありません。
ただし、送迎で使用する自動車が11人乗りなど中型自動車免許以上を必要とする場合は、求人に「中型車以上」と明記されている場合があります。
つまり、中型自動車免許以上を取得することでほぼすべての事業所で対応することができる
介護の資格や経験は必要なのか
介護に関する経験や資格までは求められていませんが、ドライバーが1人で送迎業務を
行うことも多くなっているため、介護の知識や技術が求められるケースが増えています。
そのため、介護に関する基本的な知識や技術が身についていることを証明する
介護職員初任者研修以上の資格保有者は、資格手当が付くなど優遇されることがあり。
また、介護職員初任者研修を取得している場合、送迎時間以外で介護職員として働けると
いう大きなメリットがあります。介護職員としても働くことができる介護ドライバーは
特に重宝されます。
介護ドライバーに向いている人
・自動車自体に詳しい人
基本中の基本ではありますが、普段から安全運転を心がけ、違反や事故のない方は介護ドライバーに向いています。
ただそれだけでなく、自動車が常に安全に運行できるように、「運行前点検の実施項目の例」に則った点検をしっかりと実施できる自動車の知識と技術が必要になります。
・福祉車両について理解がある人
福祉車両の福祉機器は、正しく使わないと装置の故障や事故に繋がる可能性があります。
車いす対応の福祉車両は、パワーリフトや車いすのロック、車いす用シートベルトなど、特殊な操作が必要になります。
これらの操作を正確に理解し、確実に実施することができる人は介護ドライバーとして向いています。
・高齢者との交流が好きな人
介護ドライバーはただ運転するだけでなく、利用者とコミュニケーションをとることも重要な仕事の一つです。実際にドライバーの態度は利用者の目につきやすいのです。
介護ドライバーも乗車・降車、車いすの操作などで利用者と接する機会があるので利用者との信頼関係がしっかりと構築できる人は介護ドライバーとして適性があります。
・人とのかかわり方を心得ている人
介護の仕事は、利用者と対面で行う対人援助業務であるため、人との関わり方が非常に重視されます。
利用者が毎日気持ちよく利用できるように、以下の点について心得ている方は介護ドライバーとして活躍できます。
・常に笑顔を絶やさない
・思いやりや細かい気配りができる
・利用者目線で物事を考えることができる
・聞き上手である
・身だしなみに気をつけている
まとめ
本日面接の中でも話があったのですが、デイサービスの増加により将来性は十分であるようです。
近年、デイサービスの施設数は右肩上がりで増加しており、介護保険利用者の3人に1人はデイサービスを利用しているとはなしがありました。
今後もさらにデイサービスの数は増えることが見込まれると同時に、デイサービスで働く介護ドライバーの需要も増加すると予測できます。
通所介護施設は送迎が必須のサービスのため、介護ドライバーは、将来性があって長く続けやすい仕事だと考えていいかもしれません。