「結婚・出産・介護といったライフステージの変化で離職した」「労働条件・人間関係が合わなかった」等、様々な理由により看護師の仕事から一旦離れてしまった人は少なりありません。
いつか仕事に復帰したいとは思えども、ブランクが長ければ長いほど現場復帰はハードルが高いような気がして躊躇してしまうものです。特に、看護師は経験や技術がモノを言う職業のため、不安を抱えてしまう人は珍しくないはずです。
実は、このような「潜在看護師」(看護師免許を持っていながらも現場から離れている人材)にできるだけ多く復職してもらうため、近年、国や自治体などが積極的に支援を行っているのです。
そのため、サポート体制を上手に活用して着実に準備を整えてさえいけば、復職して自身のライフスタイルと両立していくことも決して不可能ではありません。
そこで今回は、看護師の復職をスムーズに進めていくためのヒントをご紹介していきます。
■「離職時等の届出制度」を活用する
看護師不足解消のために「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が改正され、平成27年より「離職時等の届出制度」が施行されました。
これは、看護師等の免許を持ちながらも現在その仕事についていない人が、自身の氏名や連絡先などを各都道府県にあるナースセンターへ届け出ることで、各ナースセンターがその情報を元に離職者へ復職先の紹介等などのサポートを行うものです。
無料の職業紹介だけでなく、復職に向けた支援研修、相談員によるアドバイスや情報の提供、ハローワークへの巡回相談を行っている地域もあるようです。
残念ながら、ナースセンターへの届出は「努力義務」であることから、離職後に届出るタイミングを逃してしまっていたり、引っ越し等に伴う情報の更新を忘れてしまったりする人も多く、もっと積極的に活用してもらえるようにこの制度自体を改善する余地があるともいわれています。
しかし、自分から動いて貪欲に情報を得ようとしさえすれば、無料でこのように心強いサポートを受ける事ができますので、どんどん積極的に活用していくことをおすすめします。
■復職支援セミナーに参加する
復職先の目途が立ったとしても、現場を離れている間に知識や技術のアップデートができていないことから自分に自信が持てないという場合は、ナースセンターが開催している様々な復職支援セミナーに参加してみるのもひとつです。
例えば東京都の場合、看護師免許を持っていて都内への就職を希望する人を対象に、令和3年度には「病院体験コース」「施設体験コース」「学校に戻って体験コース」の3つのコースを無料で開催していました。
いずれのコースも、最新の医療や看護の動向等を学び、病院・施設見学、看護技術の再習得や体験等を通じて自身の知識技術の再確認をしたり、現場の雰囲気を改めて体感したりすることが可能です。
参加者同士で不安に感じていることを共有し合ったり、復帰にあたっての相談にも具体的に対応してもらったりもできるため、復職後のイメージをできるだけ具体的に持って、不安を取り除いた状態で現場復帰に臨むことができるようになります。
■「働きやすさ」という観点で選んでみる
復職にあたっては、必ずしも「フルタイム」「病院勤務」にこだわる必要はありません。
特に、ライフステージの変化に伴い、家事や子育て等と仕事を両立していきたいと考えている場合、まずは非正規雇用で復職し、少しずつ負荷をかけていくという方法もあります。
また、クリニックや介護施設、健診センター等、高度で専門性の高い業務が病院ほど多く求められない場所をあえて復職先に選ぶという手もあります。
このように、働く場所の選択肢が豊富にあるというのは、看護の仕事の大きな魅力です。
自身のライフスタイルとの兼ね合いで、まずは働きやすそうな場所から新たなスタートを切ってみると良いのではないでしょうか。
<参照>
厚生労働省 看護師のキャリアと働き方支援サイト 「ブランクを経て働く」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/nurse/event/pg-blank.html
東京都ナースプラザ 「復職支援研修」
https://www.np-tokyo.jp/about/activities/regional/reinstatement.html